ざまぁみろ
『もっーしー?どしたん?』
「...えっと...その...紗希って最近大学にちゃんと行ってます?」
『なんそれー?どゆいみ?』
「実は...」
一通りの事情を説明する。
『はへーん。そゆこと。うーん...私が見る限りはちゃんと学校には行ってたかと思うけど。ほら、私より先に家出てたし。つーことはーあれは大学じゃなくて別のところに行ってた的な?』
「別のところ...ですか」
『彼氏くんのとこかもね』と、少し嫌な想像を盛大に拡大化させる千夏さん。
「...そうかもですね」
別にそれならそれで俺が介入する必要もないが。
『ま、ゼミに来てないってことは他の講義に来てるとも考えられないし。ちょっと様子見とくわー。てか、別れた元彼女のためにそこまでするとか優男だねー』
「...まぁ...いい思い出もありますから」
『そうだろうね』
–––––––––––– 数日後
大学の講義中に一本の電話が入る。
スマホの画面には『千夏さん』と表示されていた。
講義が終わると講義室を出て、人気のないところで電話をかける。
「もしもし?」
『あっ、どもどもー。一応まぁ...報告というか...そんな感じ』
「紗希の件ですか」
『そゆことー。まぁ、ある程度予想の範囲内ではあったけど、予想の範囲内の中では最悪の結果だったねー』
「...どういう意味ですか?」
『まんまの意味。予想通り彼氏の家に入り浸り...と言いたいところだけど、1時間ぐらいで出てきてた。まぁあの様子だと追い出されたって感じでしょうね』
「...」
『もう少し直接的な言葉の方がいい?あくまで予想だけど、やるだけヤッテ、終わったら追い出されてるんじゃないかなー?なんか泣きながら家から出てきて大学にも行かずに公園でぼーっとしてたし』
ざまぁみろ...とは特に思わなかった。
なんというか...ただ悲しくて、どこか他人事でどうでもいいと思ってしまうような感じだった。
『ざまぁ見ろって思ってる?』
「...別に。もう関わりたくも無いし、頼まれたから聞いただけで、別にどうでもいいですよ』
『意外と吹っ切れてんだ。まぁ、私は結構ザマァ見ろって思ったけどねー』
「紗希と仲悪いんですか?」
『別に?良くも悪くもって感じ。けど、見ていて気持ちいいものじゃないからね。私は男遊び激しい自負あるけど、浮気とかは絶対しないし』
「...なるほど」
『ヤリマンは嫌い?w』
「なんですか、その答えづらい質問は」
『そうやって言うってことは嫌いなんだー』
「まぁ、どちらかというと。嫌いというより苦手って感じですかね」
『私のことも苦手って思ってたんだ』
「ヤリマンって知ったの最近ですから。最初から知ってるのと後から知るのはまた別ですよ」
『ふーん?まぁ、いいや。とりあえず頼まれごとはこれでおしまい。あとどうするかはそっちに任せるからー。私はこれ以上関与する気ないからー』と、ブツっと電話を切られる。
本当に自由奔放な女の子である。
俺はそのまま奏美にありのまま説明する。
「って、ことらしい」
『ってことらしい...ね。それで?どうするの?』
「おいおい、これ以上俺に何かを求めるのか」
『まぁ、少しだけ?私の知ってる大河なら助けてあげるかなーと思っただけ』
「俺がそんな善人に見えるか」
『それなりに。そういうところを好きになったんだし』
返しづらいことをペラペラと...。
「本人が助けを求めるわけでもないし、ましてや俺に助けを求めるわけもないだろ」
『だろうね。どの口が言うって話だし。まぁ、分かった。私の方でも少し調べてみる。なんかあったらまた報告するわ』
「別にいいよ」
『遠慮しなくていいっての。気になってんでしょ』
そんな一連のやり取りを終え、講義を終えたのち家に帰る。
すると、バス停で蹲って肩を振るわせる女の子がいた。
おいおいおい...何事だよと思いながら、とりあえずハンカチでもあげようかと思って、「あの」と話しかけると目が合うとその子は立ち上がった。
「...紗希」
そこに居たのは元彼女であった。




