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千夏

「ちょっと、落ち着けって」と、体を押し退ける。



「...私じゃダメ」



「ダメとかじゃないけど、今は冷静じゃないって言うかさ...。パニックになってるだけだと思うから。もう少し冷静に考えてみよう」



「...焦りもするよ。私にはおにぃちゃんしかいないんだから...」



「...安心しろ。恋人じゃなくても俺はずっとお前のおにぃちゃんなんだから」



「...それじゃあ足りないんだよ」



 –––––––––––



 休みの日、少しだけ1人になりたくて、特に何の用事もないのに街中に来て、どこにいくわけでもなくふらふらしていた。



「おっ、久しぶりー、大河くーん」と、後ろから声をかけられる。



 清楚系な見た目の割に元気な感じの女の子。

一宮千夏...。元カノである紗希のお姉さんだった。



「あっ...どうも」



「こんなところで奇遇だねー?いや、運命なのかな?」



【挿絵】

https://kakuyomu.jp/users/keysuke/news/16817330661986484584



「...は、はぁ...」



「紗希から聞いたよ?やっぱり君はあの大河くんだったんだね。なんとなく見たことがあった気がしたけど、まさか妹の元カレとはね。これは一本取られたよ」と、おでこを叩いてなかなかいいリアクションをする。

本当にあれだ。なかなかの残念美人である。



「それで?こんなところでぼーっとしてどうしたんだい?何か悩み事かい?お姉さんが相談に乗ってあげようか?」



「...いえ。混み入った話なので...。それにあまり人にペラペラ話す内容でもないですし」



「けど、悩んでいる。そうだろ?なら相談するべきだよ。深く知らないからこそ話せることだってあるさ」と、俺の腕を引いてカラオケに連れて行かれる。



「いぇーい!!今日は歌っちゃうぞー!」



 ...え?俺の悩み聞いてくれるんじゃないの?という顔をしていると、「話したくないなら無理に話す必要はないよ。まあでも、歌うと意外とスッキリするものだよ」と、ニヤッと笑いながらそう言った。



 最初からカラオケに行く人を探していたのでは...。なんというか...自由な人である。



 それから渋々何曲か歌う。

しかし、次第に乗っていったのは合いの手だったり、デュエットをしてくれたことが大きな要因である気がした。



「どうだい?少しはスッキリしたかい?」



「はい!結構...スッキリしました」



「そうかいそうかい。それなら良かったよ」



「...あの...紗希はどうしてますか?」



「ん?気になる?んー、そうだなー。最近は家にいることが多いね。大河くんと別れて遊ぶことも少なくなったんじゃないか?」



「...新しい彼氏とはうまく行ってるんですかね」

馬鹿か。

せっかくスッキリしたのに何聞いてんだ。

いや、この場合は聞かない方がモヤモヤするか...。



「新しい彼氏?あぁ...なるほど。そういうこと。血は争えないね。んー...私は家にいないことも多いから分からないけど、上手く行ってないんじゃないかな。多分」



「何でですか?」



「最近元気ないし。なんか追い詰められているというか、そんな雰囲気がしていた。てっきり傷心のためかと思ったけど、どうやら悪いのは紗希の方だったということだね」と、少ない情報から正確な事実に辿り着く。



「...そうですか」



「未練はあるのかい?けど、私から言えることはあの子はやめておいた方がいいってことだね」



「...え?」



「1度浮気した人間は2度も3度も浮気する。それだけのこと。大河くんみたいな真面目な子は傷つくだけじゃないかな」



「...」



「けど、会いたいなら私が仲介に入ろうか?私は一向に構わないよ」



「...今更話すことなんてないですよ」



「そうかもね。けど、何か言いたいことがあるって顔はしてるよ」と、俺の携帯をすっと取ると、勝手に顔認証したのち、何やら携帯を操作する。



「私の連絡先を入れておいた。まぁ、何かあったら気軽に相談してきていいよ。人生の先輩として可能な限りアドバイスをしよう」



「...なんか、何から何までありがとうございます」



「ううん、気にしないで。私は頼られるの好きだから」



 そうして、さらに何曲か歌ったのち、千夏さんと別れて家に帰った。



 すると、家に帰るとむすっとした表情の果南が立っていた。



「...ご立腹?」



「どこ行ってたの?」



「街にちょっと...。千夏先輩と遊んでた」



「千夏先輩...。連絡先とか交換してたの?」



「いや偶然会って...」



「千夏先輩、すごくいい人だけど男遊びは激しいから気をつけた方がいいよ」



 まぁ、あれだけ可愛かったらそりゃモテるよな。

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