私を愛してよ、おにぃちゃん
「出掛けたいんだけど...」
「俺もついていくよ」
「...なんで?」
「いや、ほら...俺もちょうど買い物あるし?」
「...私は1人で買い物したいんだけど」
「いや、俺もいく」
こんなやりとりをすでに10分ほどしていた。
俺からすれば今の果南を外に出すことは極力避けたかった。
特に1人にするなんてもってのほかだった。
なので、一緒に買い物に行こうとしているのだが、なかなか同行を許してくれないのだ。
「...無理」
「いいだろ?ほら、兄妹で仲良く買い物もいいじゃん」
「無理だって言ってんの」
「何でだよ」
「...ぶ、ブラ...とか...パンツを買う予定だから...//こんなこと言わせないでよ!//」と、顔を真っ赤にしながら怒られた。
「...すまん」と、素直に謝罪した。
しかし、それでも1人にはできないと思った俺は彼女の後ろをついて行くことにしたのだが...。
俺の目の前には黒い服の男。
まただ。きっとこいつを問い詰めたところで意味はない。
しかし、今日は家ではなく果南のことをつけている。
何か良くないことが起こる予感がしていた。
そうしてバスに乗って駅に行く果南をバレないようにどうにかつけていた。
そして、下着のお店に入っていた果南を少し遠くから見つめる。
すると、店から走って出てくる果南とそれを追いかけるおじさんが1人。
俺は緊急事態を察して、飲んでいた飲み物を放り投げて、果南を追いかける。
追いかけてきたのは正解だったと思う反面、もう少し近くにいればよかったと反省した。
そのままなんとか走り続けると、あの男に迫られている果南に追いつく。
しかし、俺より先に警備員らしき人が男の中間に入り、何やら揉めていた。
「果南!」と、そのまま近づくと、果南はガタガタと体を震わせており、その様子は尋常ではなかった。
男は警備員と何やら揉み合っていた。
そこで聞こえてきたのは「俺はあの子の父親だ」という言葉だった。
やっぱり、糸を引いていたのはあいつだった。
俺は果南をおんぶしてとりあえずその場から離れることにした。
しばらくすると、警備員の人が警察を呼んでくれたらしく、大事になっていった。
そして、そのまま近くのベンチで休んでいると、警察官に話しかけられる。
「少しお話聞いてもいいですか?」
果南は俺の手を強く握った。
そして、パトカーの中で2人で色々と話を聞かれた。
警察から聞いて分かったこと。
あれは果南の血縁上の父親であること。
10年以上の刑期を経て、最近出所したこと。
すでに父さん達がストーカーの被害届を出しており、その意図を引いていたのがあの男であることを自白したとのことだった。
その男は「ただ謝りたかった」と終始言っていたが、そんな独りよがりな反省など迷惑以外の何者でもなかった。
果南は終始震えており、時折吐きそうになるほど精神的に追い詰められていたようだった。
そのままなんとか果南を家に連れて帰る。
時間は一旦一件落着となったが、あの生き霊ももしかしたらまだ出るかもしれないし、家もバレている以上またくるかもしれない。
勿論、警察からは接近禁止命令が出ていたが、そんなものを守るような奴には見えなかった。
なので、俺は一つの提案をすることにした。
「あっちで俺と2人で暮らそう」
果南は少し驚いた表情を見せた後、「ありがとう...おにぃちゃん」と言った。
そうして、俺と果南は2人で一人暮らしの家に向かった。
「...迷惑かけてごめんね」
「迷惑なんかじゃねーっての。ほら、2人で暮らした方がいいこともあるし」
「...うん」
あんなに生意気な口を聞いていた果南もすっかりと大人しくなってしまった。
出来る限り一緒にいてあげようと思った、そんな夜のことだった。
いつものように2人で寝ていると、果南が体をすりすりと擦り合わせてくる。
「...ちょ、果南」
「...何?」
「...近すぎ」
「...嫌?」
「嫌とかじゃないけど...」と言った俺の股間をさすってきた。
「ちょっ、おい」と、その手を掴む。
「...全然勃ってなかった...」
「...当たり前だろ。妹なんだから」
「嘘。妹もののラノベいっぱい見てたんだから、こういうのされるの好きなんじゃないの?」
「...それはあくまでフィクションというか」と言った瞬間にキスされた。
「私を...愛してよ、おにぃちゃん」




