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 GHQは、日本を『アメリカの植民地』にするために働いた。

 戦中の日本政府並みかそれ以上の検閲を行ったし。自分達が行ったことを棚上げした上で、日本人の戦争犯罪を問うた。その上で、日本人の犯した戦争犯罪を強調した内容を新聞やラジオで流した。

『正義のアメリカと悪の日本』

 その思想を植え付けなければ、アメリカの戦争犯罪を裁かねばならなくなるからだ。

 駐屯地内で、降伏した日系民間人を射的の的にした後、頭を切り取って駐屯地の門に飾り。十分腐ったら頭蓋骨をトロフィーにしてアメリカの自宅に飾る、なーんてことを普通に行っていたなんて。この時点で日本にバレたらGHQの面々が怒れる日本人市民に皆殺しされるのは明らかだったからだ。




 本土にてアメリカが死にもの狂いで日本人を教育する中。

 吾妻は引き揚げ任務に従事した。

 占領地の独立を狙う勢力と合流されると連合国が困る軍人から引き揚げさせ。

 だいたいの軍人が引き揚げた1948年からは民間人の引き揚げが。1949年末には九九パーセントの日本人の引き揚げが終わる。

 吾妻は大貨物庫という、客を載せられないスペースがあったため、私物の持ち込み可能量が多く。シンガポールから引き揚げる民間人は吾妻に当たることを望んだが、希望通りに行くことは少なかった。


 GHQは、潜水艦一四隻、駆逐艦八隻の撃沈に『荷担』した吾妻艦長山野桜子をB級戦犯として裁こうとした。潜水艦を沈めながら乗員を助けなかった罪で裁こうとしたのだ。

 しかし。

「連合国の潜水艦はウルフパックを組んでいたのが明らかであり、いつ追加の潜水艦が襲ってくるか分からない状況で乗員を救助することは不可能である」

 と真っ向から食ってかかった山野自身の弁護を崩すことが出来ず。吾妻乗組員は誰も罪(存在しない)を問われなかった。

 なお、山野が食ってかかったのは『ここで裁かれると銃殺になり、溺死出来ない』からである。もう駄目だこいつ。




 吾妻が悠々と引き揚げ任務に従事していた中。

 1950年六月二五日、朝鮮戦争が勃発する。

 朝鮮戦争の連合軍側拠点として、日本の産業は急速に復興。また『防共の防波堤』としての役割を求められた日本では、1950年『警察予備隊』、1952年『海上警備隊』、として軍備の再整備が始まり。

 1954年七月、朝鮮戦争は休戦したが、それでも最前線となる日本に自衛する程度の軍事力は必要だろうと、『自衛隊』が発足する。GHQは日本を植民地にするのではなく、飼い犬とする道を選んだ訳だ。

 それに伴い、吾妻は海上自衛隊預かりとなる。乗員は多少の入れ替わりはあったが、戦中からの面々が揃っていた。


 しかし、この時点で吾妻は就役してから半世紀以上動くロートルであり。維持する意味はなかった。

 そのため吾妻はベトナム戦争真っ最中の1970年まで引き揚げ任務に従事した後、処分されることとなる。




「ええー……」

 山野、いや田中花子は困惑していた。

「なんでこうなるの?」

 というのも。

 彼女が艦長を務める吾妻が1970年に処分されるタイミングで自衛隊を辞めようと考えていたところ。クーデターが起こり王が交代したオマーンの海軍に、吾妻ごと引き抜かれたからだ。

 花子としては、老後を考えていた矢先の高給での引き抜きと、自衛隊から『国際貢献してこい』との命令によってオマーン行きを決めたのだ。


 オマーン海軍へ納品するために吾妻は、

・細かな損耗を修理

・スクリューの形状を弄る

・対空火器を自動化されたボフォース40ミリ機関砲に変更

・主砲を『Mk.45 5インチ砲Mob0』に変更

・機関部をホ号艦本式混燃缶、……のようなモノ四基に空気余熱器・収熱器を付けたモノに取り替える

・デリックを最新型のモノに取り替える

・レーダー・ソナーを新規搭載する

・『Mk.32 魚雷発車管』を艦橋下部両舷に一基ずつ設置する

 という。

 色々自動化することで、乗員を二四〇名まで削減するというが、何故そこまで吾妻に拘るのか。

「いい加減眠らせてあげようよ……」

 吾妻の扱いに、花子は心の底から困惑していた。


 なお、オマーン側としては。

・安価で購入可能

・イギリス・アメリカ相手に戦果をあげた実績(知名度)がある

・ミサイル搭載型に改修可能である

・新たな王カーブース・ビン・サイードが親日的である

 点を重視されたため、吾妻が選ばれたのである。

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