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ノワール・ルージュ  作者: 花屋敷
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第5話


 そうして2日後、ダンとデイブは城門を出て1時間程歩いたところにある始まりのダンジョンの入り口に来ていた。


「今は誰も入っていない。そこにギルドカードをかざして中にはいってくれ」


 ダンジョンの入り口にいる警備兵に言われるままにカードをかざして階段を降りていく2人。


「俺は後衛寄りの動きをするからダンが先に歩いてくれるか。フォローはする」


「わかった。背中は任せるよ」


 ダンジョンに潜るのはもちろん初めての2人。階段を降りた先は洞窟の様になっていて奥に通路が伸びている。壁全体がぼんやりと光ってはいるが通路の奥まではここからは見えない。


「これがダンジョンか」


「聞いた話だが、中はいろんな作りになってるらしい。ここの様に洞窟になってるのもあれば地下道になってたりとフロアごとで異なってるそうだ」


 ダンの独り言に背後にいるデイブが答える。そうしてダンに強化魔法をかけてくる


「まだスキルが低いから無いよりはマシって程度だけどな」


「それでも助かるよ」


 礼を言って洞窟を進みだすとすぐに前方から2人にお馴染みの唸り声が聞こえてきた。

前を歩いているダンが片手剣でさっくりと倒す。


「ランクDかEクラスか」


「まだ1層だからな」


 1層は洞窟が一本道で分岐がない。前に進みながら通路に現れるゴブリンやスライムを倒して進んでいくと下に降りる階段が見えてきた。


「階段は安全地帯になっている。これはどこのダンジョンでも同じだ」


「よく知ってるな」


「俺は性格的にできるだけ事前に調べたり準備をする方なんだよ」


 なるほどと感心するダン。確かに事前に知ってることが多いと事故のリスクは減る。

 ダンはずっとフィールドでも以前のゲーム感覚で魔獣を討伐していたが、これから敵が強くなった場合には行き当たりばったりの戦法では無理が出てくるだろう。何よりゲームと違ってこちらは生身の世界だ。魔獣との戦闘で敗北することは死に繋がる。


「デイブに見習うべき点は多いな」


「死にたくないからな」


 その通りだ。ランクCになったばかりだが今までの様な自分の戦闘スタイルではやっていけないと認識を新たにする。


 2層になると洞窟のダンジョンの中に分岐が出てくる。そして出てくる魔獣のランクもDばかりになってきた。単体での出現なのでダンが戦闘をし背後からデイブが回復や強化魔法でフォローする。2層を隅々まで移動している間に2人のコンビネーションが様になってきた。


「いい感じだな」


「うん、悪くない」


 そう言って3層に降りると今度はランクCが主体となる。


「俺も精霊魔法で参加しよう」


「頼む。その方が確実だ」


 短いやり取りで階段を降りて3層を歩き出すと早速前方からランクCのゴブリンが2人を見つけて襲いかかってきた。


 強化魔法を受けたダンが剣を構えているその横を火系の精霊魔法が飛んでいきゴブリンに直撃する。ゴブリンが仰け反った時には既にゴブリンに近づいていたダンの片手剣がその首を刎ねた。


 その後も精霊と剣のコンビネーションで3層のフロアの敵を全て倒した2人は4層に降りる階段の途中で休憩をする。


「4層はランクCの複数体になるぞ」


 持参している水を飲みながらデイブが話す言葉を聞いているダン。


「2体ならお互い1体を相手にしたほうがいいか」


「そうだな。俺も剣が使える。その方がいいだろう」


「最下層はどうなってる?」


「ここは普通のダンジョンのミニチュア版と考えていい。最下層にはボスがいる。俺達は2人組だからそれに合わせた強さのボスが出てくるはずだ」


「事前に情報があると助かるな」


「ダンの実力なら問題ないだろう。ランク以上の力はあるんじゃないのか?」


 デイブはダンジョンに入ってから前で戦闘をするダンの動きをずっと見ていた。彼は何度かパーティに臨時メンバーとして参加をして同じランクの冒険者達のレベルを知っているが目の前にいるダンは彼らよりも上の実力があると見ていた。


 剣の捌きや体の動かし方がランクCのそれじゃない。その上に暗黒剣士のジョブ特性である与えたダメージの幾ばくかを体力に取り込んでいるせいか疲れで動きが悪くなることもない。こいつならソロでも普通にダンジョンクリアしてきただろう。


 しばらく休んでから4層の攻略を開始した2人。デイブの予想通りこのフロアはランクCが2体固まって出てくるので1体ずつを受け持って倒していく。ダンは剣を主体にし、デイブは魔法でダメージを与えてからの片手剣。どちらも危なげなく倒して最下層に降りていった。


「この扉を開けると戦闘だな」


「その通り。この大陸にあるダンジョンも基本最下層はこの様に扉があってその奥にボスがいる仕様になっている。普通はこの扉の前で休んだり、戦闘の打ち合わせをしたりしてから扉を開けるんだが俺達にはそんな時間は必要ないだろう?」


 その言葉に立ち上がると、その通りだ。さっさと倒そうぜと扉の前に立つダン。デイブが扉を開けるとその円形の部屋の中央に今までよりも一回り大きいゴブリンが立っていた。


 デイブの強化魔法をもらうと近づいていくダン。ゴブリンも石の鈍器を持って両手をあげて威嚇してくる。猛然とゴブリンに突っ込んでいくと振り下ろしてきた石の斧の様な武器を交わしながらその腹を片手剣で切る。


 背後に走り抜けたダンの方に体を向けた時にデイブの精霊魔法がゴブリンの背中に着弾して大声をあげて今度はデイブの方を振り向いたその瞬間に背後からダンの剣がゴブリンの首を刎ね飛ばした。


 やったなとハイタッチをする2人。


「これでダンジョンに潜れる様になったぞ」


 そう言ってる2人の前に宝箱が現れた。開けると同じ様な片手剣が2本入っていた。お互いに1本ずつ手に持つと


「さてと帰るか」


 ボスを倒した奥にある石板が光っていてそこにカードを当てると地上に戻れるという仕組みになっている。デイブ、ダンと続いて地上にあがると入り口に立っていた衛兵が


「クリアおめでとう。カードに記録されているからギルドで見せてくれ。それでOKだ」


「あっという間だったと思ったけどこうやって外に出てみると結構中にいたんだな」


 ダンがダンジョンの外に出て伸びをしながら言う。


「本当だな。さぁ、帰ろうぜ」


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