表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ノワール・ルージュ  作者: 花屋敷
37/126

第37話

  事前に聞いていた通りレーゲンスは大きな街だ。城壁の中には東西南北に綺麗に通りが走っている。その区画整理された中が商業地区やら居住区などに大まかに分かれている様だ。


 ダンとデイブは市内に入るとまずは事前に聞いていたおすすめの宿に向かう。3軒聞いていた全てを見てそのうちの1軒に決めると2部屋を取り料金をとりあえず1ヶ月分前払いする。ランスが勧めた3軒の中で食事が一番旨いと言っていた宿だ。


「とりあえずこれで拠点は確保した」


 それぞれの部屋に荷物を置いて1階の食堂に降りてきた2人はそこで夕食を取る。


「ランスが言ってた通りだ。値段の割りに味がいいな」


 料理を口に運びながらダンが言う。デイブも旨いと言いながら同じ様に料理を口に運んでいる。フォークを置いて顔を上げてダンを見ると、


「明日はとりあえずギルドに顔を出してギルマスに挨拶をしてからこの街のクエストやダンジョンの情報を集めよう」


「せっかく来たんだから色々とやってみたいよな」


「そういうこと。時間の制限もないからな」


 久しぶりにベッドでゆっくりと寝た翌日、2人は朝食を済ませるといつもの鍛錬をし、旅館からそう遠くない場所にあるレーゲンスの冒険者ギルドの扉を開けた。


 そうしてカウンターに向かうと2人のギルドカードを受付に出して


「ヴェルスからやってきた2人組なんだけど、こちらのギルマスに挨拶したいんだけどいいかな?」


 受付嬢がカードを持って奥に消えていくと2人はカウンターの横で立って彼女が戻ってくるのを待っている間にここのギルドの中を見ていた。


 ヴェルスより大きな街だけあった冒険者ギルドも広い。基本的な造りはどこのギルドも同じだが、カウンター、掲示板、そして隣接している酒場の広さがヴェルスの倍はありそうだ。


 酒場にいた冒険者の視線が2人に注がれる。知らない冒険者が来ればそいつらの品定めをするのはどこでも一緒だ。


 複数の視線を感じながらも2人で雑談をしていると受付嬢が2人を呼びそのまま案内されて奥のギルマスの執務室に通される。


「ようこそレーゲンスへ。ここのギルドマスターをしているカントレーだ」


 握手をしながら自分たちも自己紹介する。勧められてソファに座るなり、


「道中はどうだった?」


 と聞いてきた。デイブが道中の様子を話するのを聞いているカントレー。


「なるほど。大きな変化はなさそうだな。いやこことヴェルスは商人の行き来が多い街道だ。街道の安全は常に把握しておきたいからな」


 ギルマスの言うことももっともだとダンが頷いているとデイブが


「ヴェルスの街を出る前にこの街所属のパーティが来ていたよ」


「ああ、ランスのパーティだな。出発前に挨拶にきたよ」


 そう言ってから彼らはこのレーゲンスでも名が売れているランクAのパーティらしい。周囲の人望もあるんだよと言ってから


「最近ちょっと伸び悩んでるって言ってたんでな、気分転換に他の街に出向いて武者修行をしてきたらどうだい?って言ったんだよ」


「そう言うことか。俺達もランクAだけどこっちはまだ成り立てでね」


 いつも通りこう言う場ではデイブが会話の窓口になってダンは隣で聞きながら時々口をだしたり頷いたりする。


「2人組でランクAか。ジョブは赤魔道士のデイブと暗黒剣士のダン。2人とも相当できそうだな」


 ギルマスのカントレーは受付嬢が持ってきたギルドカードを見た時に二人組と聞いてびっくりしたがよくカードを見て2人のジョブを見て納得する。そして同時にこの若さでランクAになっているからは相当できるんだろうと検討をつけていた。


 実際に部屋に入ってきた2人を見ると2人ともどちらかといえば穏やかな顔つきだが持っている雰囲気は間違いなくランクAのそれだ。特に黙って座っているダン、こいつは相当できるとギルマスは見ていた。こいつはランクAでもかなり上位クラスだ。


「出来るかどうかは知らないけど毎日必死でやってるよ、な、ダン」


 話を振られたダンはギルマスを見て、


「俺達は正直ランクにはあまり拘ってないんだ。今のランクというかギルドポイントは5名のパーティを前提にしてポイントを計算しているからさ。だからポイントよりも自分たちの力を付けることに注力してきた。もちろん2人だから何か合ったらそこで終わりというのもあるけど。そうして2人で必死でやってきたら気がついたらランクが上がってたんだよ」


 その言葉に大きく頷くギルマス。


 確かに今のギルドのランクを決めるポイントは5名、時には4名の活動を前提としている。そんな中でこの2人は相当きつい鍛錬をしてきたんだろう。おそらくポイントの高い護衛クエストは受けてないはずだ。となるとダンジョンで格上を倒し、フィールドでも格上とのクエストをこなしまくってきたと言うことだ。


「確かにダンの言う通りだ。今のポイントシステムは4、5名のパーティでの活動が前提になってる。そんな中で2人でランクAになっている、周囲から見たら相当出来るってことになるよ。ジョブから見てデイブが後ろ、ダンが前でやってるのかな?」


「基本はね。でも俺達は2人とも剣と魔法が使える。時々俺が前、ダンが後ろで鍛えながらやってるよ」


 なるほど、お互いに特徴を生かしつつ剣と魔法のスキルを上げてきているってことか。


 2人を見ているとデイブがこの街の周辺のダンジョン事情につい聞いてきた。


「ランクA推奨のダンジョンもいくつかある。後で受付で地図をもらうといいだろう。簡単な地図だが場所の見当がつくはずだ。それとフィールドのクエストについては掲示板に貼ってあるのはどれでも構わない。ランクAにクエストの制限はないからな」


 

 礼を言ってギルマスの部屋を出た2人は受付で簡単な地図を受け取る。そうして受付から離れた時に酒場から1人の冒険者が近づいてきた


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ