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ノワール・ルージュ  作者: 花屋敷
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第100話


 ダンは冒険者として普段は魔獣を相手にしている。そして物を買う時も元冒険者のワッツやレミー、そしてミンの店だけだ。ここレーゲンスでは鑑定スキルのあるウィーナの店以外には行ったことがない。


「俺は冒険者でよかったよ。人の付き合いとか言葉の裏を読むとかはできないからな。幸いにデイブがその辺の読みというかスキルが鋭くて高いから助かってるんだよ」


「お互いに補完しあってるからいいペアなんだろうね。戦闘能力ではあんたが上、そして戦略や交渉ではデイブが上だ」


 ウィーナの言葉に頷くダン。


「デイブにはいつも助けられている。目の前にいる敵を倒す戦闘力は正直俺の方が上だろう。でもそれ以外の部分は全てデイブの方が優れている。冒険者トータルのスキルとしちゃあデイブの方がずっと上だよ」


 ダンの言葉を聞きながらそうやってちゃんと相手を尊重できるからあんたはいろんな人に好かれるんだよと内心で思っていた。もちろんデイブだって人に好かれているのは間違いないけどね、でもダンも自分が思っている以上に周囲の人はダンの事を好いているんだよと。


「これからの予定は?」


「とりあえず未クリアのダンジョンをクリアしたらヴェルスに戻ることになると思う。そこで遠出の準備を整えてから一度中央部の山裾に出向いてみる感じかな。まずは様子見からだ」


「アイテムボックスもあるしね」


「そういうこと。あそこには強い敵がいるという話なんで楽しみなんだよ」


 楽しみだというダンの表情は本当にそれを楽しんでいるのがわかる。普段から相手が強ければ強いほど鍛錬になると言って憚らないダン。普通ならもう十分な地位と名声を得ていて金銭的にもかなり持っていて何もしなくても良い人生が送れるはずなのにこの男はをの場で立ち止まらずに常に自分より強い敵を探し求めている。この向上心がダンという冒険者をここまで強くさせてきたとも言える。



 また来るよとウィーナの店を出たダン。街をブラブラするが行くところもないので結局ギルドに顔を出した。夕刻前だが既に何組かの冒険者が酒場で打ち合わせや酒を飲んでいた。


 ダンがギルドの扉を開けて中に入ると酒場から声がかかった。ランスのパーティがそこで打ち合わせをしている。近づいていくと、


「今日は休養日かい?」


 と戦士のスコットが話かけてきた


「そうなんだよ、完全休養日。そっちは?」


「こっちは今日はフィールドで金策さ。終わって帰って報酬を分配して一息ついてるところさ」


 そう言って椅子を勧めてきたのでそこに腰掛ける。


「休養日はデイブと一緒じゃないのね」


 ダンは聞いてきた精霊士のジョアンナに顔を向けると、


「基本は休養日は完全にお互いのプライベートタイムにしている。1日中合わないことも多いよ」


「本当の意味でリフレッシュしてるんだな」


「そうなるな」


 それからはお互いに今挑戦しているダンジョンの話しなった。ランスらのパーティもダンとデイブの話を聞いてからは3勤1休にして活動しているらしい。トムのパーティもそうしてるぜとランスが言う。


「以前は特に休日って決めてなくってさ。皆の体調を見ながら俺が決めてたんだよ。でもノワール・ルージュの二人がそうしてるって聞いて俺達もやってみたららこれが意外にもと言うか狩りの効率が上がったんだよ」


 ランスが言うと女性二人から休みの日が決まってるってのはありがたいわと言う。


「俺達二人は冒険者になった時からこのローテーションでやってきてる。デイブが言い出したんだが活動3日そして1日休みというは体調の維持もしやすいんだよな」


 ダンが言うとその通りと同意するランス達。

 そしてダンジョンの話に戻るとダンがクリアしたダンジョンに挑戦しているということで知っている知識を彼らに話ししていく。


 途中で質問が出てもその状況を思い出しながら丁寧に答えていくダン。ランスはダンとのやりとりで彼がここまでしっかりと話をすることにびっくりしていた。いつもはデイブが話をしてダンは時折口を挟む程度だったのでダンの事をよく分かっていなかったが今日こうやって話をするとダンもデイブ同様頭がきれる冒険者だと認識する。


 ダンジョンのフロアごとの作り、そしてそこに出現する魔獣の種類、ジョブ、パターン、そして弱点と聞かれる度にスラスラと答えていくダン。


「ここまで事前情報があると助かるな。攻略で大いに参考になるよ」


 説明を終えたダンにランスが礼を言った。


「これくらいはお安い御用さ」


 とあっさりというダン。


 周囲と競争をしているという意識が全くないから周りの質問にも知っていることは包み隠さず教えてくれす。今までの冒険者にいなかったタイプだ。


 ダンジョンの話が終わると酒を飲みながら自分達のパーティメンバーと雑談をするダン。ランスはそのダンの姿をじっと見ていた。



 常々ノワール・ルージュの二人は自分達が強くなるのが一番でランクにはこだわってないんだと公言している。強くなるためだからと平気でダンジョンの同じ場所で数ヶ月も鍛錬をして格上と戦闘をしている。こんな冒険者は他にいない。


 聞くとここレーゲンス以外の街でも同じ様に片っ端から未クリアダンジョンをクリアしその過程で何ヶ月も同じ場所で鍛錬していると言う。



 ノワール・ルージュの二人はそこまで強くなって一体何がしたいんだ? その内こいつらに倒せない敵はいなくなる。いやもう今でもダンジョンのほとんどの敵は倒せるだろう。



 金か?名誉か?それとも俺達が知らない何かがあるのか?

 ダン、お前さん達の最終目標は何なんだ?


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