表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/126

忍者は言葉は解らなくても何とかする

ちなみに私の中での忍者は、007とかmission impossible(旧作)のイメージが強いです。


文書校正完了しました。(2020/5/17)

彼が私と桔梗を拝みながら必死で何かを訴えている。


『~! ~~!!』


どうやら、感謝はされているようだが、何を言っているかはわからない。


桔梗が彼の前に進み、身振り手振りで何かを話し始める。


そして私のほうへ向き直り緊迫した表情で彼が言いたいことを伝えた。



彼は近くの街の名士の息子らしいが、婚約者へこっそり贈り物をしたかったそうだ。

衛兵に金を握らせ、供も連れずにこっそり街を抜け出して隣街へ向かい、そこで贈り物を手に入れたところまでは良かったのだが、帰る途中に運悪く賊に襲われたらしい。


賊に命を狙われた為にうっかり贈り物を落としてしまったのだが、それでも賊は追いかけてくる。

もう駄目だと思ったところで私達に出くわしたということだ。



そこまで彼の言うことを理解できる桔梗に驚き、私は思わず彼女に問いかけた。

「ここの国の言葉が解るのか?」


桔梗が胸を張って答える。

「忍者たるもの、言葉が解らなくても何とかするものです。」


「なるほど…確かにそうだな。」


 *


天下統一を果たすために、様々な土地を転戦する中、忍者である桔梗は情報を入手してくる。

前にいた世界では、地方によって方言みたいなものも多かったが、不思議と桔梗は住民たちと普通に会話をしているようだった。


もちろん私も桔梗ほどではないが、なるべくその地方の領民に対しては桔梗から言葉を習い、その地方の言葉を使うようにした。


―そのほうが、より領民に慕われることを知っていたからだ。


 *


私は単純な疑問について考えた。

―彼は大事な荷物を置いて逃げたのになぜ命まで狙われたのだろうか?



また、桔梗が身振り手振りで男と会話をしている。

その途中でまるで火が付いたように真っ赤な顔になっているが、なにかあったのだろうか…?


桔梗が真っ赤にした顔をすぐに戻して私に報告した。

「恐らく、父に敵対する相手が賊を雇って私を亡き者にしようと謀ったのだろうと…」



―なるほど…それならせっかくの荷物(おたから)を放っておくわけか。



しかし、()()()()がここまで顔を赤くするとは何かあったのか?

桔梗の顔を覗き込んで私は問いかける。

「ところで桔梗…顔が赤いが何を聞かれたのか?」


桔梗は先ほどよりも殊更に顔を朱に染めながら焦った声で答え、そっぽを向いてしまった。

「なっ…何でもありません!?」


とりあえず、あまり聞いてはいけないことのようなので話を進めることにする。

「わ…分かった、とりあえず商人の大事な荷物の回収をしようか。」


「そ…そうですね、この賊はいかが致しますか?。」


「とりあえず動くことは出来ないだろうし、荷物を優先しよう。」


―大事な荷物らしいから、通りがかった誰かに盗まれたら彼が可哀想だ。


 *


商家風の男はいそいそと私たちの先頭に立ち、その案内に従うままに道を辿ると彼が急に立ち止まった。


目当てのものを見つけたようで彼は涙を流して歓喜している。


彼のが嬉しそうに私たちにそれを見せてくれた

なかなかに見事な細工がされた髪飾りで見事な宝石で飾られている。


桔梗がその美しさに感嘆の声を上げる。

「綺麗な細工ですね、宝石のセンスもとても良いです。」


私は細工に傷がなさそうなのを見て彼に話しかけた。

「そうだな、幸い破損もしてないようだし良かったな。」


言葉は伝わらずとも気持ちが向こうにも伝わったのか彼は嬉しそうに返事をする。

『~~!! ~!』


 *


それから暫くした後、彼が神妙な面持ちでこちらに話しかけて来た。


これまた桔梗が身振り手振りで返しながら、私に説明してくれた。

この先にも賊がいるかもしれないから、街まで護衛してほしい。

今は路銀の持ち合わせがないけれど、街に着いたらきっとお礼はする。



―右も左も解らない私たちにとっても、それはありがたい提案だった。


私は深く頷き桔梗に頼んだ。

「承知したと伝えてくれ。」



桔梗はすぐに彼の元へ行き、護衛を了承する意思を示した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作を書いてみることにしました。

魔王軍の品質管理人

平和な世界で魔王軍と人間の共生のために奮闘するような形で書いていきたいと思っています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ