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深まる疑惑

トールが再度放った斥侯から妙な報告がされた。


「報告します。イースタンが急いで食料を買い漁っているそうです。また、街中で慌ただしく何かの準備をしているようです。」


フレイが訝し気な表情をしながらトールに尋ねる。

「トール、お前はこれをどう見る?」


トールが少し思案した後、推論を述べた。

「そうだな、順当なところで行けば、早馬で書簡を届けた時にわれらの戦力が想定以上だったと気づいた。だから、籠城する気になったというところかな。」


フレイがそれを聞いて目を光らせて確認した。

「ふむ…イースタンの街は堅固な要塞だったか?」


トールが斥候にイースタンの街が要塞化していたかを確認して答えた。

「特にそういったことはないそうだ。」


フレイの疑念はさらに深まる。


―それならば、イースタンはカイン公の墓場に他ならなくなる。


フレイは自分の疑念について周りの3人に伝えることにした。


 *


本来、籠城というのは援軍を待つか、こちらが根負けして撤退するまで待つのを目的とする。

つまり時間稼ぎのために行うものだ。


今回のイースタンの兵力は賊を含めて総勢300程度で、討伐軍の兵力は500程度。

確かにイースタンは天然の要害にはなりそうだが、堅固な要塞化はされていないとなれば籠城は明らかに不利だと、あのカイン公ならわかるはずだ。

さらに、王がイースタン…いやミスリル産業をどれだけ警戒されているのかを知っているはずの彼が、討伐軍に選りすぐりの精鋭たちを編成するということが分からないはずがないからだ。


そうなるとイースタン以外の所から援軍を呼ぶということになるが…。


 *


フレイは氷のような冷たい目でバロンを見て告げた。

「もし、サウスの街も反乱に加担して私達を謀ったとなれば…わかっているな?」


あまりの眼光にバロンが一瞬怯むも、すぐに平静さを取り戻して答えた。

「そ…そうですね、それはあり得ません。ただ…。」


「ただ?」


バロンが何かを思案するように上を向き、困ったような顔をする。

「私共のギルド員で少々困った者がおりましてな。ブル…と申す者が売上の着服を繰り返しており、それを追及して追放した所、逆恨みされてしまいましてね…。もしかしたら今回の件にも絡んでいるかもしれないと思っているのです。」


「ほう、どのように絡んでいるというのだ?」


「彼は南方との交易も担当していたため、今回の賊については彼が手をまわした可能性もあるかと。」


「なるほど、それで私に何が言いたい?」


「恐らくジャンを解放したのも彼だと思うのですが、もしイースタンを開放しても彼は私を道連れにしようと嘘をつくかもしれません。すべて私が裏で手を引いていた…と言ったことを。」


「なるほど、あり得るな。」


「ですから、彼を取り調べる際にはこれも見せてやってください。」


バロンは彼の荷物から数冊の書類を取り出して、フレイに手渡した。


フレイがそれを一読して納得したような目でバロンを見て言った。

「なるほど…確かに奴のしたことは中々のもので、南方の賊を雇ったという証拠もそろっているな。だが、こう言ったものは最初から提出して頂きたい。」


バロンが表情を穏やかなものに戻して答える。

「申し訳ありません、イースタンの反乱を何としても伝えることで必死だったのです。」



フレイは、バロンを一瞥すると、トールに尋ねた。

「それで、トールは伏兵や他国からの援軍が来ると思うか?」


トールがさらに思案をする。

「伏兵はあるかもしれないが、援軍は難しいだろうな。山の向こうから援軍持ってくるとなれば話が別だが、それこそ目立つし我々にも報告が来るだろう。」


フレイがそれに反論する。

「だが、イースタンが反乱を起こすとなれば、当然我々にもその情報は伏せるのではないか?」


トールはその意見を一笑に伏した。

「フレイ、そもそもあの山を越えること自体が厳しんだよ、猿か鳥なら別だがな。」


フレイが困惑した顔になって呟く。

「では…なぜそのようなことを…」



その時、イースタンからの早馬がまた彼女らのもとへ到着した。

「報告します。イースタンの街南西に、賊の拠点ありとのこと。伏兵や奇襲に注意されたし。とのことです。」


フレイが当惑してイースタンからの早馬の使者を呼んで問いかけた。

「なぜ、貴公らは我々に伏兵の情報を教えたのだ?」


彼が不思議そうな顔をしてフレイに答えた。

「遠方の王都よりはるばる援軍に来てくださった方々に万が一のことがあってはならぬと、カイン様は私にお伝えになられました。」


フレイが街の様子について聞いた。

「食料を急に買い漁っているようだが、イースタンではいったい何をしているのか?」


彼がフレイに笑みを浮かべて答える。

「それは…」

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