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催涙粉

文章校正しました(2020/5/18)

賊達がイースタンの門にもう少しで迫ろうとしたとき、空に銀色の光が光った。


『何だあれは!銀色の…鳥か?』


二羽の銀色の鳥が風と共に流れるように飛んでくる。

『鳥というには余りにも大きすぎる…』

『近づいてくるそれには人が…』

『鳥…いや蝙蝠…何故人が空を飛んでいる?』



人が空を飛ぶ…そんな奇跡のような光景に一瞬、戦場が止まった。



そして、戦場ではその一瞬が命取りになりうるものだ。


押し寄せる族たちの手前で二手に分かれた銀色の蝙蝠から赤黒い何かの粉が降り注ぐ。

粉が風に乗り、先陣を切る賊の顔に触れたとき、絶叫が周囲に響き渡った。


『ギャアアアア!!』

『グワァァァァーー!?』


賊達が目と口を押えて悶え苦しむ。



前方にいる半分ほどの賊のほとんどがうずくまって動けなくなるが、さらに後方から進もうとする者たちが勢いに任せて進む為、ぶつかり、もんどりうって倒れる。

敵の後方付近にいる男がこの惨状を見て業を煮やしたのか、前線に出て何かを指示しようとした。


あっけにとられるイースタンの衛兵達だったが、馬で戻ってきたライアンが彼らにに命令をした。


『何をしている! 弓隊、あの支持するものを射るのだ!』


我に返った弓隊が正確な射撃で男を射抜く。


命令系統を潰されまいと、他の男が何かを指示をしようとしたが…丸見えだ。

次の男もあえなく矢で射抜かれて絶命した。


動けなくなった男たちをかき分けて前に出ようとする賊もいたが、弓隊に優先的に狙われ、地に伏していった。


これではいい的だと後方の本陣へ下がろうとする指揮官をライアンが目ざとく見つけた。


『あいつを逃がすな、一斉射撃!』


 *


最前線は動けず、指示もできない。

さらに指揮官をやられた賊たちは混乱状態に陥った。

破れかぶれに前に出たものか、それともいったん体勢を立て直すべきか。



その時、上空からまた銀色の光が煌めいた。

前線の戦力をを壊滅状態に陥れた銀色の蝙蝠が旋回して後方から迫ってくる。

賊たちは恐慌状態となり絶叫しながら前方に駆け出した。

…が、目を掻き毟りながらのたうっている味方を踏みつけるだけの結果となり、何もできずに弓兵に射られていく。

残った賊はこれ以上の抵抗は無駄だとうなだれ、武器を捨てて降伏した。




本陣からの兵が来る前にと、衛兵たちが急いで降伏した賊を捕縛していく。


飛蝙蝠をマントに変え、私達はライアンのもとへ戻った。


ライアンが余りの快勝に驚嘆する。

『見事なもんだ…百人以上がこんなに短時間で壊滅するとは。』


そして、私たちを見ながら感嘆した。

『駐屯地の時から君たちは規格外だと思っていたが、まさか空まで飛ぶとは思っていなかった。本当に驚かされてばかりだ。』


私は頭をかきながら、ライアンと話した。

『まあ、天気が良かったのもあるが、殆どはライアンたちの活躍だ。』


『いや、そもそもあの粉みたいなもので、前線の賊が壊滅状態になったのが大きいぞ。あれは一体何なんだ?』


『あれか?桔梗特製の激辛唐辛子と胡椒を使った催涙粉だ。』



桔梗がライアンに笑顔で催涙紛について説明した。

『元々は敵から逃げる際に、追っ手を撒くために使うものですね。

 私も()()()()()()()使()()()ものです。あれを食らうとしばらくの間は目も開けられないし息もできないんです。』


ライアンが身震いしながら、そっと私に耳打ちをする。

『ガイ君の婚約者は恐ろしいな…絶対に浮気とかしないようにな。』



そんな私たちを見て、桔梗がなんだろうって顔で首をかしげた。



私は顔を引き締め、ライアンに次の策を告げる。

『さて、次の策の確認だが…』

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魔王軍の品質管理人

平和な世界で魔王軍と人間の共生のために奮闘するような形で書いていきたいと思っています。
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