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開戦

文章校正しました(2020/5/18)

翌日、空が白み始めた頃に賊たちが押し寄せてきた。

私は丘の上から敵の状況を確認する。

『ほう…どちらかといえば蜂矢の陣に近いといったところか。それに夜襲をしないということは勝利を確信しているな。』


先頭付近に鎧を着こんだ異国風の屈強な男が百人ほど居る。

その後ろに馬に乗り、その男たちを指示する者が数人、そこから少し距離を置いたところに顔に大きな刺青がある将軍風の男が馬に乗っている。

近くにいる商人風の小男がサウスの町の商人ギルド関係の者か。

そしてその近くに伝令役とみられる馬に乗った男たちが数人。

残りの兵で彼らの周りを固めているようだ。


『ライアン、あの男を知っているか?』


『ああ、あいつは黒狼のジャンだ。ここらへんでは子供でも知っている極悪人で、野盗を引き連れて暴れまわっていた。俺たちも散々あいつにはやられたよ。だが…あいつは投獄されて出られなくなったはずだがな。』


『おそらく金の力って奴だろうさ。』


『そうだな、で…どうするんだ?』


『門の前に十人ほどの槍兵と後は弓兵を用意してあるな。』


『もちろんだ。何故か相手が混乱して止まるから、その状態で指示するやつをねらって打てばいいんだな。』


私は腰につけた袋を一目し、銀のマントの持ち手に手をかけた。

『では行くぞ…桔梗!』


『いつでも行けます。』


私たちはマントを飛蝙蝠へ変え、地面を蹴って風に乗る。

そして敵のいるほうへ飛び去った。


ライアンが目を見張りながら私達が飛んでいったほうを眺めて感嘆する。

『本当に……空を飛ぶとはな。…まあ、信じろってほうが無理だよな。』


そして、イースタンの門を見て馬を走らせながら呟いた。

『さて、俺は俺でやれることをしないとな。』


 *


イースタンがあと少しと近づく中、ジャンは退屈そうに周囲にいる商人風の男に声をかけた。

『あの都市はミスリルの防具を着た衛兵が多いが、辺境な上、元々は対して期待されたなかった土地だから兵士は大した腕じゃない。まあ、順当にいけば楽勝だろうな。ところでブル、約束は守って貰えるんだろうな?』


ブルと呼ばれた商人風の男は下卑た顔で答える。

『もちろんでございます。できればアケロスは生かして捕まえたいですね…あと彼の妻か娘も捕まえられればなお良しです。』


ようやくジャンが興味ありげな顔をして呟く。

『なるほど、ここ数年でイースタンの価値を上げた金の卵か…』


ブルは大げさに頷いた。

『そうでございます。』


ジャンはブルに念押しをする。

『他の街の娘とかは好きにして良いんだな。』


ブルがニタリと濁った目でジャンを見ながら了承した。

『もちろんでございます、イースタンには綺麗な町娘も多いといいます。しかし…ジャン様は本当にお好きですな。』


ジャンはそれを聞ければ十分だと興味なさげにブルを一瞥した。


 *


少し距離が離れた前線から絶叫が聞こえてくる。


『そろそろ始まったな…さてどんな娘がいるか楽しみだな』


ジャンは勝利後に娘をどう嬲ろうかと、舌なめずりをしながらイースタンの街を眺めていた。

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平和な世界で魔王軍と人間の共生のために奮闘するような形で書いていきたいと思っています。
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