3/126
目覚め
校正完了しました。(2020/5/17)
「夢……か…?」
―夢にしては随分と感覚がはっきりとしている。
頬に伝わる水の感触…
体に伝わるひんやりとした土の感覚…
そして頭の下に感じる柔らかな…膝の感触…
膝枕!?
驚いた拍子に跳ね起きると、桔梗らしき少女の顎におでこをぶつけ…
そして悶絶した。
「痛っ!何をなさるのですか…」
と恨めしそうに私を見る桔梗の顔は涙で濡れていて…
それでもとても嬉しそうな顔で…
―綺麗だった。
*
当たりを見回してみたが、記憶にない景色のようだ。
整地はされているようだから、道のようだが近くに人の気配はない。
「ここは一体、そして…桔梗…なの…か?」
「それにこの体…私も若返っているようだが?」
手の感触や足の感触からすると、私も十五~十六程度の年齢になっているように感じる。
「そうです凱さま!桔梗です!」
嬉しそうに、そして泣きながら私に抱き着いて来る桔梗の頭を優しく撫でながら、ことの顛末を聞くことにした。