表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/126

笑顔の影

普段笑っている人ほど怒らせると怖いものです。

文章校正しました。(2020/5/17)

桔梗に縋りつくように抱き着き、大声で泣くメディを何とか落ち着かせ、桔梗が解毒の処方を教えた。


メディはメモを取りながら何やらつぶやいた後、桔梗へ頭を下げた。

『ありがとうキキョウちゃん、後で必ずお礼をするから。』


 *


店の外に出るとだいぶん良い時間になっていた。


セリスが申し訳なさそうに私達に謝った。

『ごめんなさい、街を案内するつもりだったのに…』


私はセリスに気にすることはない、むしろこちらが感謝したいと伝えた。


桔梗も満面の笑みでセリスに感謝する。

『はいセリスさん、とても良いものを見せてもらいました。』



そのまま三人でとりとめもない話をしながら燕月亭に戻り、クラリスに出迎えられた。


セリスがクラリスを見て嬉しそうに笑う。

『お母さんただいま』


クラリスがセリスをいっぱい抱きしめた。

『セリス~おかえりなさい!また綺麗になったんじゃないの? やっぱり良い人がいると女は磨かれるものよね。』


こちらを見たセリスが真っ赤になっている。

『やめてよお母さん、キキョウさんたちがいるのよ。』


クラリスは悪戯っぽい笑顔を私たちに見せる。

『あの二人はもう少し積極的になったほうが良いのよ。』


それを聞いた桔梗が少し頬を赤らめた。


しかし、私の顔を見た瞬間に何かを思い出したような顔をした。



―ん? この感じは怒っている?



すぐに笑顔に戻った桔梗だったが、不穏な気配を感じる。



―後で二人でしっかりと話し合ったほうが良いかもしれないな。



私がそんなことを考えている中、セリスが工房でアケロスと話した内容について告げ口をしていた。

『それでねお母さん、お父さんったら酷いのよ…』


それを聞いたクラリスは、一見すると笑顔で穏やかな口調だ。

『へぇ~アケロスったら少しお灸が必要なようね。』



―だがとても怖いオーラを発している。



そんな私の想像をよそに、クラリスさんはオーラを発したまま私たちに()()()した。

『二人ともちょっとだけ部屋に戻っていてね。』


私と桔梗はにべもなくうなずき、部屋に戻る(にげる)ことにした。



私たちが部屋に入ると同時に、丁度よく宿屋のドアを開けたアケロス…

『おーい、クラリス!今帰ったぞ~』


私たちの部屋のドア越しから恐ろしい気配が伝わってくる…。

『お父さん!』

『あなた~ちょっとそこに座ってくれます♪』


―しばらくの間は修羅場だろう、君子危うきに近寄らずというからな。


私はつい桔梗に心の声を漏らしてしまった。

「やっぱり女性って怒らせちゃいけないものだな。」


桔梗は虫の居所が悪いのか、私を一瞥して一言だけ返した。

「当たり前です。」



そして、私のほうを見ずにそっぽを向いてしまった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作を書いてみることにしました。

魔王軍の品質管理人

平和な世界で魔王軍と人間の共生のために奮闘するような形で書いていきたいと思っています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ