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桔梗は薬師の理力持ち?

この世界の人の理力ってこんなイメージってところですね。


文章校正しました(2020/5/17)

セリスに連れられ私達は街を案内されていく。


セリスが上機嫌で私たちのほうを見て笑いかけた。

『どこか気になるお店があったら言ってくださいね…ってキキョウ様?』



桔梗が突然足を止め…嬉しそうに私の袖を引っ張る。

そこには可愛い装飾品のお店…の向かいにある薬の店だった。


目を輝かせながら店に入りたがる桔梗を見て私はセリスに尋ねた。

『セリス、この店に行っても良いかな?』


『え…ええ、キキョウ様はこういったものが好きなのですね…』


桔梗がアクセサリーの店に興味があるのかと思っていたセリスは、ちょっと戸惑いながらも店に案内してくれた。


 *


セリスが元気に店の扉を開け店主を呼ぶ。

『メディ~いるかしら?お客様を連れてきたわ!』


すると、ボフンと煙が上がり…店の奥からセリスよりちょっとお姉さん風な女性が、ぼさぼさの頭をぼりぼりと掻きながら出てきた。

『今、一番大事なところだったのに…誰なの、あたしの邪魔をするのは?』



―きっと磨けば美人なはずなのに、すごく残念な感じがする…



『この子が薬に興味があるみたいで…』


と、ちょっと申し訳ない顔でセリスがメディに話しかけている間に、桔梗が興奮した様子で私にまくしたてた。


「凱さま! これ…”竜泉花”です! それに”弁慶茸”…しかも”虜草”まであります!」


私も感心して頷く。

「確かにそうだな、品ぞろえがかなり良いようだ。」



桔梗がメディに駆け寄って質問攻めにする。

「お姉さん凄いですね! これはどこから仕入れたんですか。」


桔梗のあまりの剣幕にメディがセリスに助け舟を求める。

『ちょっとちょっとお嬢ちゃん落ち着いて! 何を言ってるのか分からないわ?』


前の世界の言葉で捲し立てる桔梗を落ち着けつつ、私が代わりに伝えた。

『すまないな、品揃えが良かったので連れが喜んでいるんだ。』



桔梗が同類だとわかったメディが目を細めて笑い、白銀の水筒に差し出す。

『へぇ~お嬢ちゃん結構解ってるじゃない、じゃあこれって分かる?』


『ミスリル…の水筒ですか?』


『正解!実はあたしこれを使ってある薬を作ってたの、でも丁度良いところで邪魔が入っちゃってね…』


と、『失敗したのはあんたのせいよ』とばかりにジト目でセリスを見つめる。



薬のこととなり興味津々となった桔梗がメディに問いかける、。

『どんな薬を作ろうとしていたのですか?』


『あのね…』


とメディは難しい表情をしながら事情を話してくれた。


 *


最近、鉱山の周りに蜘蛛の化け物が現れている。

その討伐に衛兵としてメディの幼馴染も向かったそうだ。


だが、蜘蛛の糸に足を取られる仲間を庇って手傷を負ってしまった。

さらに毒を受けてしまったようで腕がしびれて高熱でうなされている。


蜘蛛の毒自体は手元にあるので、解毒剤を作ろうと奮闘しているそうだ。



事情を聴いた桔梗がこれは放置すると危険なものだと理解したようだ。

『それじゃ、早く完成させないとまずいかもしれないですね。』


メディが頭を抱えながらセリスのほうを見てぼやく。

『そうなのよ…それなのに邪魔が入っちゃって、どうすれば良いのかしら…』


困ったようなセリスがハッと思いついたような顔桔梗に持ち掛ける。

『ねえキキョウ様、このボトルで一回その薬作ってみませんか?』



先ほどまでの桔梗の意見を思い起こしたメディが帰郷の顔を見て逡巡する。

『そうね、その子なら薬にも詳しいし上手くいくかも…』



意を決したようにメディが帰郷に持ち掛けた。

『お嬢ちゃん、駄目もとで…お願いできないかな?』


 *


―メディが桔梗にミスリルの水筒の使い方を教えている。


『このボトルに薬を入れて必要な材料を入れたら、両手で包んで製法を思い浮かべるの。』


『製法…ですか…』


桔梗は困惑した顔で考えていたが、決心したようにメディに向き直った。

『その蜘蛛の毒って、まだ残ってますか?』


メディが小瓶を差し出した。

『ええ、抽出してある分はこれね。』


と、桔梗は躊躇なくその毒を軽く啜った。

『なるほど…ではちょっと失礼しますね。』


いきなり目の前で毒を啜られてメディは慌てた。

『ちょっと…貴方!?』


桔梗は平然とブツブツと呟き、

『なるほど…この毒は…』


そしてこれはなんだか理解できたという顔で、それぞれの材料を指さした。

『メディさん、これとあれと…あとそれを下さい。』


メディから材料を受け取った桔梗はそれをボトルの中に入れた。

そして目を閉じてボトルを両手で包み込み何かを思い浮かべる。

すると、ボトルが一瞬虹色に輝き…元に戻った。


桔梗がボトルの中の液体を一舐めして確信を持った声でメディに伝えた。

『恐らくはこれでよいと思います。』


中身を見たメディが驚愕の顔で、わなわなと震えている。

『嘘…まさか…本当に…?』


そして桔梗は不思議そうな顔でミスリルの筒を見つめている。

『…でも…どうやってこんな…?』



メディはそれには答えず、ボトルをもって飛び出すようにどこかへ駆け出して行く。

『ごめん、セリス…後のことお願い、ありがとうお嬢ちゃん!』



セリスは感激して桔梗に抱き着いた。

『凄いですキキョウ様、やっぱり薬師の理力をお持ちだったのですね!』


そして桔梗の両手を掴んで上下に振り回しながら、薬師としての腕を称賛した。

『私…あんなに凄い理力は見たことありません!!』



桔梗は何が何だかわからず、困惑した顔で私を見つめている。



私は先ほどのミスリルの棒と今の薬の件についてセリスに聞くことにした。

『セリス…教えてくれないか、理力とは一体何なのだ?』

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