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アロエの鉢
アロエの鉢を飾る家がある。通りがけに高齢者が鉢の世話をしているのを良く見かける。
ある時に、私は高齢者に声をかけられた。
彼女が身にしているものは作務衣だったから、てっきり男性かと思っていたが女性であった。失礼しました。
私は世間話的に、今日の空の色のことや、もちろんアロエについての話をした。
それっきりで、ものの三分間くらいで立ち別れた。
当座はあまり印象に残らないような出来事だった。
だけれど、夜、眠るときに。
あの高齢の女性はもしかしたら寂しかったのではないか、と考えもした。
だから、次に話しかけてくれたらサービスと言うとおこがましいけれど、たくさん話をしようと何となく肝に銘じた。
だが、それ以降、あの人に会うことはない。
アロエの鉢もだんだんに色をくすませてしまった。
砂色に変色しているし、枯れそうだ。
私は通るたびに水をあげようかと思う。
だけど如雨露を持ち歩いて散歩に出たりはしない。




