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天袋




 天袋に吸い込まれていく兄弟、というナゾのイメージを私は飼い馴らしている。


ある六畳間くらいの部屋にランニングシャツを着ているようなオカッパ頭してるような前時代的な、兄弟姉妹がいて、彼ら彼女らは何か宿業を背負ったような顔をしているんだ。


いちばんの年嵩らしい、長兄にあたるだろう男の子がすっと立つ。


すると六畳間の側面にある押し入れめいた部位のフスマを開けるんだ。


フトンなどは詰められていなく、ガランとしている。


長兄は決心した面持ちで押し入れの内奥にすすみ、身を屈して、二段構造である収納棚の上段に乗っかる。


あとの男の子、女の子は固唾を飲んで何も言わない。


長兄が天袋をさぐり、それを押し開けると、さらさらと天袋に吸い込まれてしまう。


人の身じゃなく、からだが半透明の気体になったようにして。


ことが瞬く間にすむと、天袋の押し上げ蓋はパタンとひとりでに閉まる。


残された兄弟姉妹は顔を見合わせて笑う者さえあるが、奥底に秘された宿業の匂いは硬く、消え得ない。


そんな空気の六畳に、今度はあたらしい兄妹者、もっとも年若の子よりさらに下だろう、女の子が入ってきてチョンとすわり座に加わるんだ。


このように消失が譲り渡されていくのかもしれない。




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