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雨が集る




 蟻が(たか)る―


という表現はあるが、


雨粒(あめ)が集る―、


という表現はない。


だけれど、今、()の様に()っているのだ。


私が緑地の舗装路を逍歩(しょうほ)していると、雨が降ってきた。


はじめは細雨(さいう)だったけども、雨滴(つぶ)が丸こくなり―、


()れも可笑しな表現だが、()れら雨粒(うりゅう)一つ(びと)つに、動物的な『毛』が生えている様な心持ちがする。


―幸いにも撥水性の生地をしたアーミーを着ていたから、―


手の甲のあたり、頬や唇に触れるのが不快なくらいであったが。


―だが。


私の全細胞が不意に悲鳴を上げて、鳥肌を粟立てるのである。


(すべ)ての雨粒に私の姿が映っているが、其の全ての私が()ぜながら(おびただ)しく死んでいく―、


ことを深く感取(かんしゅ)したから。


()つ。


雨は一粒一粒が少女の踵の形状をしているのだ。


毛の生えた踵である。


其の毛は(とげ)ばり、悪魔の皮膚のごとく美しく()けている次第なのである。


私は今、蕃神(ばんしん)に捧げられた(にえ)なのである。


―私は昏倒した。


冷雨(あめ)何時(いつ)までもいつまでも路上の心臓を()やしていた。




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