骰子と姉と手淫と私
姉は、漆色の髪を乱して、圧倒的な色気を吐きながら骰子を手にした。
―ポルノの様だが、―
其んな状況ではない。世界は姉の、
―手淫によって、
生殺の天秤に懸かってしまったのだ。
骰子は八面立方体をしていて、各面は白・黒の二色に塗り分けられている。
―ところで古のエジプトでは、宇宙創造の原初、神はおのれの影と交わる事によって―
―つまり、手淫―、
によって宇宙の卵を孕み、やがてして産卵したと信じられた。
トレーナー姿の姉が今、発揚しているのは、
からだの内側に卵を宿しているためだ、
―と。
其の様な夢を見た。
ちなみに私に姉はいない。
首を捻るしかあるまい。手淫に人体中の卵。其れが宇宙の卵というなら、荒唐無稽とは言え理屈だけれど。
―黒白の骰子となると状況説明すら無く、一体、何の寓意像なのやら、皆目サッパリである。
という坦懐をぼうっと弄んでいたら、妙に体が火照り、
―夢の『姉』と同様に、
私は自身で火を鎮めたのである、―
其うしたら下腹部に違和感。
唐突に膨満していて、仄明るく発光しだしている。
子宮内部からは、雛鳥の嘴が卵の殻を小突く様な音が。
―間断なく続くのだった。
困惑して、てのひらを見てみれば正八面立方体の、
―黒と白に塗り分けられた骰子が―
いつの間にやら載っているのだった。
エイと振らねばならない渇望が、身を炙るごとく萌している。
結果によっては、何か、とんでもない事態となる。
其んな気がするのだ。




