23/57
夢寐の鍵
夢の中で鍵を失くした。
確か、谷底の様な深間に滑り落としてしまった。
まあ夢寐の話だ。意味は無い。
何処まで行っても抽象の話である。
無意識が語ると言うのも今時、流行るまい。
フロイトはコークに御執心だったらしいし。
ユングは円盤だったか。
ニューエイジも古かろう。
今では人工知能が無意識を代弁していて。
其れにインターネットが混沌の海を具現している。
まあ、兎に角。
夢寐の話は夢寐の話。
夢が頭を殴ると言うのかい。
だから、勿論、捨ておいた。
忘れかけていた、今まで。
忘れていたほうが果報だった。
まだ此処は夢の中じゃないか。
果てしない砂漠。寥々の曠野。蕭条の地獄。
夢寐の中の其れら。
其れを越えて辿り着いた先に此の扉。
鍵が掛かっている。
びくともしない。此の世の物質ではあるまい。
合う鍵でないと開くまい。
夢の出口と刻まれている。
私は目覚めないのだろう。
永劫に。




