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夢寐の鍵




 夢の中で鍵を失くした。


 確か、谷底の様な深間に滑り落としてしまった。


 まあ夢寐の話だ。意味は無い。


 何処まで行っても抽象の話である。


 無意識が語ると言うのも今時、流行るまい。


 フロイトはコークに御執心だったらしいし。


 ユングは円盤だったか。


 ニューエイジも古かろう。


 今では人工知能が無意識を代弁していて。


 其れにインターネットが混沌の海を具現している。


 まあ、兎に角。


 夢寐の話は夢寐の話。


 夢が頭を殴ると言うのかい。


 だから、勿論、捨ておいた。


 忘れかけていた、今まで。


 忘れていたほうが果報だった。


 まだ此処は夢の中じゃないか。


 果てしない砂漠。寥々の曠野。蕭条の地獄。


 夢寐の中の其れら。


 其れを越えて辿り着いた先に此の扉。


 鍵が掛かっている。


 びくともしない。此の世の物質ではあるまい。


 合う鍵でないと開くまい。


 夢の出口と刻まれている。


 私は目覚めないのだろう。


 永劫に。




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