22/57
赤い封書
懶惰な日々が続いていた。
郵便受けを開けもしない。
そうだった。そうだ。そうだよ。
私は思い出した。
封書を待っていたんだ。
いや。
何の封書を。
記憶障礙かしらん。飲み過ぎだろう。
脳が溶けてしまったか。
いやいや、笑い事じゃあない。
其んな歳でもあるまいに。
いや。
私は幾つだ。
兎に角だ。郵便受けを私は開けた。
中身を確かめる。
確かに封書がある。
赤い色をしている。
曼珠沙華の様な。
体内に流れている原罪の様な。
悪い過去の様な。
私は動悸とともに。
流れ落ちる汗とともに。
赤い封書を確かめる。
開けるな。
思い出すな。
其う血を吐く様な字で記してある。
私の筆跡で。




