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私と言う太陽
路上に血痕が夥しい。
其の真ん中に人が倒れている。
其の人は私の顔をしている。
私は死んだろうか。
―にくたいは今、私の肉体では無くて、白菜の様な形態へと変貌していた。
―何故か、―受肉―、と言う語句が去来したが、理由は無い。
傲岸不遜でもあろう。
私は愧じて、葉の一枚一枚をせめて光らせた。
其れから、男の元へ行かなくちゃ、と考えた。
かんがえた、―けれど、其れは『考え』と形容できる様なものか。さわさわと手触りは無機質で、其れは葉っぱの音をさせそうな思路なのだ。
ともかく、私が存在しない目蓋で瞬きをすると、複眼で瞰ている様な調子で、すっと手許にアパートが現れた。
私が無い手でドアを開いて、無い足で框を跨ぐと、男は知らない娘のからだを弄っていた。
女の子は詰まらなそうな顔をしていた。人形の様に見えた。人形なのかもしれない。
私はもう為る事が無いので、そらに昇り、太陽に成った。




