前へ目次 次へ 13/57 真夜中の鏡 真夜中に、鏡を覗く行為を私は控えている。 良い年して子供らしく、化け物に恐怖しているわけではないのだ。 ―わけではない、―と、思う。 いや。 或る意味では怯懦(きょうだ)しているのだから、枯れ尾花の幽霊を、メデューサを、避(よ)けているんだろう。 まあ良い。 ともかく。或る夜、鏡を覗くと、私ではなくして青空が映っていた。 人型をした青空だった。 ともかく。或る夜、鏡を覗くと、私ではなくして裸婦が映っていた。 発揚をした裸婦だった。 ―まあ、 ―其れだけのはなし。