12/57
狢
「あたしを殺すんですか」
と。銃を構えられた。だから。
「そうだよ」
と。柄に手を当てた。
女には顔が無かった。
切り刻んでやると、背面に獣の尾が現れた。
やはり狐だか狢だか。
私は血刀をデニムで拭うと、鞘に収めた。其れから女の持ち物だった拳銃を拐帯した。
だけれど。
何処へ歩けば良いのか、いや何う歩きだせば良いのか、皆目、分からないままに晦冥に身を沈めていった、―
―、一体、私は何者なんだろうか。
喉が渇いている。
其んな事を思う間に、背後から近づく凶刃の気配。殺気とあらわす以外無い厭な足音。
私は誰何し、―いや、唯、問うた。
「私を殺すんですか」
と。銃を構えた。




