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 (たらい)があった。何の変哲も無い。そうした純粋日用の器物(きぶつ)である。


私は此れも何の気なしに、其れに水道水を張り、いっぱいにする事をしたのだった。


さて、何を()たのだっけ。

犬を洗う手筈だったのかしらん。


何故かは忘失したが、水が必要で、盥に汲んだのだ。


ともかく、ざばざば、さあさあ、だくだく、と浴室にて銀の水柱を威勢よく弾けさしていたのだ。


すると、すると。


きっかりと蒼く張った水面(みなも)から。


女の物だろう『足』が逆さまに天を蹴る様なしぐさで浮かび上がって。


水を()り、私のはなづら位まで踵を挙上さしたのだ。


そうして二十秒間くらいのあいだに再び沈み、消えたのである。


私は其れを見て何も感じなかったが、いま追想してみると不可思議な事象ではある。


其れならば存外に、我々は不可思議な事象を無感覚に見聞きしては忘れているのかも知れない。




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