表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/57

砂場の女

 



 謝っても、謝っでも許しでくれないよね、と。くぐもった声が聴こえてくる。

 其れは排水溝だから、幻聴だろうど思う。いつものこどなんだよ。


 ―という独り言を話している女が砂場に真っ白な服を着て座している。服は洗い晒しに見えるが、錆色の穢れが禍々しく付着している。


 長い長い髪で(かげ)になり、貌はまったくはっきりとしない。


 だけれど―縊礫(いれき)と言うのか―、所謂くびつりに失敗したような痛ましい崩れが、細っそりした頸部に、妙にあざやかであった。


 なんだか(こわ)いのは怕いが、私には無関係であるのと、刺激してしまうと(なにがし)かの事態の引鉄(ひきがね)と成りそうであり、―間を()たせる様に私は腰掛けたベンチから、空を眺める。


 空は青い。晴れていた。


 昼間の月が出ている。薄い月だ。


 ああしたのを何と呼ぶのだろう。うつくし()、そう(らん)じていると、眼を戻せば女ば既に消えでいる。



 何処に行っだんだろう。



 あれ。



 あれ。



 何処に私は行ったんだろう。



 私ば気ぢぐど砂の上にずわっでいで、ぞごがら見上げだ公園の木の枝にば、輪っがになっだロープが見えだ。


 吊らなぎゃ、と月に誘われで、私私私ばは思うのだ。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ