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元騎士、奴隷を買う

奴隷!



『いいじゃない〜何事も経験よ!』



「いやでもさ、女の子と同棲してるのにそういうお店行くってどうよ?」



『大丈夫よ、むしろお前らが手を握らせないから握るに行くんじゃない!!!」





「………そういやお前は滅茶苦茶ピュアだったなぁ……」





桃色な空気が漂ってる気がする、大人しか来ちゃいけない所でエクティスと彼をここに誘惑したアスモデウス。




剣と会話するというイカレ具合にどんな奴だろうと金を払えば神様扱いのこの業界ですら近づく者はいない………



と思いきや。



「そこのお兄さん……そういうお店に行くならもっとコスパ良く楽しめる方法があるでゲスよ?」





「うん?、お、俺に話しかけてんの?」




「ゲスゲス、どうでゲスか?一夜だけの関係と言わず、醒めない夢を見れるかもでゲスよ?」




「え、ま、まぁ、話を聞くだけなら……」





『お、そうよそうよ、先ずは話を聞くだけでもいいんだから!!』







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆










「ああ〜奴隷か〜たしかに長い目で見ればそっちの方がいいかもなぁ〜」




「そうでゲショウ?」




奴隷、聞こえは悪いが言ってしまえば個人契約、無期限の従業員を雇うみたいなものだ。





亜人達が暴れた理由の一端に仲間が人間達に捕らえられ、ボロ雑巾のように扱わられる、正しい意味の奴隷のシステムにキレた歴史から、ちゃんと人権が保障されるようになり、奴隷という言葉はその時の名残みたいなものだ。





「う〜ん確かにうちの奴ら家事ができないからな〜、家政婦が一人いた方がいいか………」




『「そうでゲショウ、そうでゲショウ」』



二人の悪魔の声は重複して聞こえる。





奴隷商の男は女の人を連れてきて、よだれを垂らすエクティス。




「これなんかどうでゲショウ?」




「おお、狐耳にボインボインか、中々いい趣味してるじゃないか」




「お褒めに預かり光栄でゲス」






ゲスい目にも営業スマイルを浮かべている亜人、彼は話し込んでいるとふと気づく。





「うん?、おいあれは何なんだ?、檻みたいだけど」



「あ、そ、それは……」



「あ、もしかしてペットか?へへ、どんな子かな〜」



かけてある布を少しずらして中を確認する、そこに自由を封じられた人魚がいた。



身体はガリガリに痩せ細っていて衰弱しているようだ。



「は?……おい、この扱いは違法なんじゃないか?」



「それがですねぇ、彼女の家族達がこの扱いで売ってきたんですよ、家族が良しとしているなら騒ぐ奴らはまずいない、こっちとしてもそっちの方がコスパが良いですからねぇ」



「…………何でこの子の家族はそんなことするんだよ?」




「どうやらこいつは突然変異のようでしてね、オーソドックスな人魚なら足が魚で固定されていて、最近生まれている人魚は我々のような足をしつつ足に鱗やヒレを限定的に生やすといった進化を遂げているのですが、こいつは地上では我々の足、海中では魚の足になれるといった二つのいいとこ取りをした個体でしてね、どんな種族でもはみ出る者は淘汰されるのが宿命なのです、気味が悪いって売ってきました、まだ入って数日ですが、こちらも売れる気配がなく困っているのですよ」






「…………まじかよ………えっと、まぁいいか、この子は家事とかできるの?」









◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆







他より違うという理由で檻にぶちこまれ、クソみたいな飯を出され、買い手がつかない場合は後数日の命だろう。



今日は男が一人覗き込んでいた来たが、だいたい私の姿を見たらそっぽを向く。



最初は「こんな扱い許されると思っているのか」とかなんとかいうが自分が買うとなると話は違うらしい。



別の女を買って出て行ってしまう、きっとこいつもそうなんだろうと思っていた。



そんなふうに考えていた彼女に信じられない言葉が響く。




「じゃあこの子にするわ、ガリガリだけど、顔立ちは綺麗だし、スタイルも良いし、家事できる上に戦闘もそこそこできる………そして何より安い」





「毎度ありゲス〜」




奴隷はエロい

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