元騎士、勇者に絡まれる
めっちゃ筆が早く進む!!
「まぁ、拙者に稽古でも一回も勝ったことのないお主が勝てるというなら受けて立つでござるよ」
呆れ顔で忠告する牡丹、事実なのか少年は顔をしかめる。
「うっ、そ、それは……」
「挑む気が失せたなら、拙者と師匠は忙しい、おとといきやがれでござる」
「し、師匠?だ、誰だよそいつ」
「このお方でござるよ」
そうエクティスを指し示す牡丹、エクティスを見るや否やはるか格下を見下す目になる。
「はぁ???この雑魚そうな奴が師匠??剣は安物だし、鎧はところどころ急所にプロテクターをつけてるだけ、こんなのなにが良いの?」
「だからお主は未熟でござるよ、弘法筆を選ばずという言葉を知らんのか?どれだけ優れた武士であろうと完全に殺気や剣気を隠すことは不可能、拙者も強者には見えなかったが、師匠の殺気の押さえ込み上手すぎてまるで空気や水を相手にしてるようでござる、だがしかし、拙者は知ってるでござる、師匠の本気を出した瞬間、まるでかの大剣豪宮本武蔵晴信を前にしているかのように拙者の心臓の鼓動が早くなるのと、師匠が前に立っているだけで難攻不落の熊本城に守られているような安心感を感じたでござる!」
「はぁ??お前の勘違いじゃねぇの?」
「は、わからないのなら仕方ない、もう話すことはないのでとっとと帰るでござる」
「んだとぉ」
少年が憤怒に顔を染めながら俺に向き直る。
(あ、なんか嫌な気配)
そう思った次の瞬間
「じゃあ師匠とやらのお手並み拝見してやるよ!!!!」
そんなことを喚きながら拳を振ってくる少年、いきなりすぎたのと速すぎて反応できずに拳をくらい、その場にうずくまり腹を抱えるエクティス。
「はは、やっぱクソ雑魚じゃんこいつ!!!!」
跪いたエクティスに追い打ちをかけるのごとく蹴りを何度も見舞う少年。
頑丈さに自信のあるエクティスも徐々に意識が刈り取られていくほどの蹴り、しかし、なぜかその蹴りの嵐がやんだ。
「それ以上は許さないでござるよ」
仁王のような恐ろしい形相を浮かべている牡丹が少年の肩を掴み制止させたのだ。
「はは、これでこいつが雑魚だってわかっただろ?」
「だから未熟というのでござる、こんなところで暴れれば周りの人に迷惑がかかるし、物も壊れる、そうならない為にわざわざ攻撃を受けた師匠の器のでかさがわからんのか?」
「な、何だと!??!」
「ただ女神様にお着付けてもらった聖剣を弱者に躊躇なく振り、自分から吹っかけといて自身より強いことがわかってる拙者との決闘は受け渋る、だからお主はヘタレと言ってるのでござるよ!!」
「は、はぁ!!?受け渋ってる?なに言ってやがる!」
「それにひきかえ、師匠のなんと心の強いことか、どんなに傷つけられようとも、心無い言葉をかけられても、決してやり返そうとしない、他の人に迷惑をかけまいとする行動、鋼のように固く、菩薩のような優しさを」
「た、ただ殴られてただけだろ!」
「………わからないならもう良い、そのことに関しては問答無用、暴れたいなら拙者が相手になるでござる、表に出ろ……」
「は、はぁ!?な、なんでお前と決闘しなきゃいけないんだよ!!受けてやるなんて言ってないぞ!!?」
「ほう?好き勝手言って拙者に付きまとい、下半身にしか興味がない顔で口説きまくって、全く見知らぬ他人に迷惑がかかる所で、我が師匠を散々愚弄し、あまつさえ暴力を振るった、この事を国王に進言し、お主から勇者の称号を剥奪してもらうよう頼んでも良いんでござるよ?」
「あ、そ、そそれは」
周りの美女が少年に囁く。
「そ、それはまずいですよ勇者様、実質あの人一人で魔王を討伐したことは国王様も知っておられます、あの女を敵に回したら一夜にして王国は終わり、そうならないように国王も私たちを刑に処す判断をするかと……」
「よ、よしわかった!!け、決闘を受けてやる!」
「…………骨も残らんと思え………」
牡丹が九頭龍犬狼以上の殺気を撒き散らしたことで冒険者全員が失禁しまた受付嬢も全員その場から動けない錯覚に陥った。
その殺気が消えるのと同時にエクティスは失神寸前から復活し、起き上がる。
(し、死ぬかと思った)
「さすが師匠でござる、拙者の鬼人位の剣気の中でも飄々としておられる………」
「え?き、キジンイのケンキ?な、なにそれ?」
なにそれ美味しいの?と言った顔を浮かべるエクティス。
「ふ、よく拙者と同じ生まれの人は謙虚な人が多いと言われるでござるが、師匠のに比べたらまだまだ傲慢でござるな……」
○○位の剣気というのは漫画でよくある殺気を叩きつけて怯ませるとかそんな感じのやつですね!




