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元騎士、月を見ながら語り合う

お母さんエロい!!



リビングの窓から月を見るエクティスと雛罌粟。



「みんな寝てしまいましたね……」



寝ている者たちを起こさぬよう、エクティスにも聞こえるか聞こえないかわからない小さいつぶやきをこぼす雛罌粟。





「そうですね〜……」



ほろ酔い気分で答えるエクティス。






「エクス様、いきなりで申し訳ないですが、聞いてください………」



そんな彼にさっきよりも数段小さい声で話しかけてくる彼女。




「え、あ、はい…」




「あの子、牡丹には父がいないのです……」



「え………」




「あの子が生まれる前にある戦争で行方不明になりました……顔すら知りません……ですが、そんな彼女も父を知る唯一の方法がありました、大人達に聞いて回ることです……父は島でも最強の男と聞き、母の私も最強の女、そしてわが故郷は強さがすべての島………そのことから彼女は強さに取り憑かれました………もっと強く、もっと強くと、やがて同年代に敵がいなくなると島を勝手に出ました、もしかしたら誰よりも強くなれば父が戻ってきてくれるかもと………だからこそあなたに弟子入りしたのかもしれません……」





「……………」





あんなに一緒にいたのに、知らなかった牡丹の情報に狼狽するエクティス、そんな彼に続けて辿々しく、しかしはっきりとした声音で詳細を紡いでいく雛罌粟。







「……私たちの故郷では父だけが使えた鬼神位の剣気を使えるあなたに……」





「………………」




「……娘が修羅に落ちてしまわないか……不安で仕方ないのです………だから……エクス様……しっかり牡丹の手綱を取ってください………お願いします……」




「………………」



(…………黙って聞いてたらすっげぇ重い話になってしまった………だけど……言う言葉は決まってる…)





「………大丈夫ですよ、お母さん……俺はあいつの師匠ですから………」




「…………安心しました………」






雛罌粟の娘への不安を取り除いてやるエクティス、無論これはただの強がりだ、鬼神位の剣気など彼には使えない、純粋な剣の腕だって牡丹にすら敵わない、それでも師匠として胸を張れるくらい強くなると誓ったのだ。



いつまでかかるかはわからない、だけど必ずそこへ行く、そう心に決めている、ならここで雛罌粟を不安にさせることもない。





彼に新たな目標ができた、すなわち、牡丹の父を超えるという新たな目標。




月の下ってエモいですよね

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