元騎士、死闘開幕
久しぶりの戦闘描写書くの楽しい
こちらが勝手に機械狼鬼と呼んでいる機械部品が所々飛び出ている異形の狼鬼、歯車を組み合わせてできたような奇妙な剣を振りかぶってくる。
自身の愛剣を武器の側面に当てて攻撃を逸らし、攻撃を捌くエクティス。
通常の狼鬼と違い感情を感じさせない目で淡々と攻撃を仕掛けてくる。
いくら凌いでもエクティスの姿勢を崩すまでは大振りの攻撃は来ないだろう。
どうやら普通の魔物とは違い、感情の昂りで迂闊な行動はしないみたいだ。
基本的な身体能力はもともと上な狼鬼をさらに機械などで強化しているのだ、このまま一対一を続ければエクティスが追い詰められることになる。
しかしこれは集団戦、一対一などあり得ない。
突如、機械狼鬼の頭から剣が生える、後ろから元同僚の騎士が援護してくれたようだ。
「悪い助かった……カイ」
「後で飯おごれよっと、エクス……お前の懐があったかいことは知ってるんだからな!!」
「おっと、ああ、好きなだけ食わせてやる!!」
金色の短髪に爽やかな青眼、女性によくモテる好青年
カイ・ドラゴン
騎士団にいた頃、お互い気が合いよくつるんでいた、だいたい荒くれ者や陰湿なものしかいない中、曲がった事が大嫌いという彼の性格はエクティスも惹かれた。
また、カイもエクティスの愚直に頑張る姿に好感を持っている。
会話しながら魔物を屠っていく2人、長年同じ隊で任務をこなしてきた経験からお互いの考えがわかり熟練の連携をしている、隙がない。
他の団員達も着実に人工魔物を減らしていき、このままいけば勝てる………
狸の皮算用をするエクティス、そんな彼を嘲笑うかのように耳障りな爆音が鳴り響く。
隆起した筋肉、自身の怒りを表してるかのような赤い皮膚、そんな皮膚に無骨な銀色が斑模様になっている、機械部品が混ざったオーガは土煙を纏いながら天を貫く咆哮を上げる、鋼鉄大鬼とでも名付けようか。
鎧を着てる騎士や騎乗騎士など様々な騎士がいるが、全員等しく紙屑のように吹き飛ばしていく。
戦場に君臨した鋼鉄大鬼は全てを蹂躙し尽くす。
怪物の標的が団長に定まり、どちらかというと叩き潰すことを目的としている鉄剣を振り下ろす。
怪物に臆している団長アーロンがあわや潰れたトマトのようになる直前、エクティスが間に滑り込み剣を側面に当ててうまく逸らすが、捌ききれず吹っ飛ばされる。
アーロンも吹っ飛ばされることで距離が取れたが、頭をどこかに打ち付けたのか気絶しまっている。
カイは舌打ちしながらエクティスに大声で叫ぶ。
「駄目だ!団長は捨てていこう!助けてる余裕がない!」
彼に対して少し迷うような顔を見せた後、諦めたように笑うエクティス。
「カイ!!アーロン団長を頼む!!後、負傷した兵も!!!俺がこいつの相手をする!!」
「な、何言ってる!!そいつは1人じゃ無理だ!大体、お前は団長に不当解雇されたんだろ、そこまで守ってやる義理もねぇ!!」
「確かにそうかもしれねぇ………だけど悪いな、やっぱ見捨てらんねぇよ、それが俺の騎士道だ!!」
「…………やっぱお前は馬鹿だよ………」
「…………カイ……」
「……絶対生き残れよ!!飯の約束破るんじゃねぇぞ!!!」
「…………わかった……」
『ワレヲアイテニゼイジャクナニンゲンヒトリダト、オモイアガルナ!!』
鋼鉄の大鬼と下級騎士の死闘が始まる。
ヤバイぜ




