side騎士団長、下級騎士の手を借りたい
時系列的には本編とは少し外れてます。
数週間前
「団長!!!なぜエクス先輩をクビにしたんですか!!」
憤慨するは金髪金眼の見目麗しい少女シャーロット・カナリア、目はぱっちりしていてまつげは長く見るものの胸を高鳴らせるだろう。
髪の毛は邪魔にならないようツインテールにまとめていて、鼻と口も高すぎ大きすぎず、黄金比を整えている。
均整のとれた手足、16歳にしては中々ボリュームのある胸と尻、少女の瑞々しさと女の妖艶さが混ざり合っており、見るもの全ては心奪われ、何もかもを犠牲にして手に入れたくなる美しさ。
さらに見た目だけではない、剣の腕は普通7人しかいなく、かつ貴族しかなれない騎士団最強の剣士達七聖騎士に特例で8人目として迎えられるほどである。
天賦の才にたゆまぬ努力によって育った純粋な剣の腕は最年少で七聖騎士に加入したのにかかわらず、8人の中でも最強の騎士。
しかし全く位や栄誉に興味を示さず、民のために戦う姿から無冠の黒騎士と呼ばれ……美貌、実力、気高さ、と三拍子揃っており実質騎士団のNo.3、国民から人気が高い、彼女か副団長目当てで入団してくるものがほとんどだ。
余談だが金髪のシャーロットと銀髪のオリヴィエ、大体の男性騎士はどっちかのファンクラブに入っている。
そんな彼女も今は激怒しており今にも腰の剣を抜きそうな雰囲気。
団長も少し言葉を選びながら説明する。
「仕方ないだろう、軍備縮小の一環で団員を何割か除名するというのは国の決定だ」
「なぜエクス先輩なのかを聞いている!他にいくらでもいる、セクハラしかしない奴、無理矢理権力で女性に迫る変態、人に自分の仕事を押し付ける無責任男!!そんな奴らを差し置いてなぜ!……今すぐ土下座でもなんでもして入り直してもらおう!!」
団長のフワフワした言い逃れに敬語を忘れるほど感情を昂らせ、激情のまま不条理を指摘する。
理屈の上では完全にシャーロットに利がある、そこで心情的な面から弁解するアーロン。
「………君こそなんでそこまであいつにこだわるのかな?」
その言葉に少しどもりながら返答するシャーロット、勢いが目に見えてなくなる。
「え、い、いや、別に………ただ単に真面目に働いていた先輩が不当な理由で解雇されるのは許されない……というだけです………」
顔を赤面させながら俯くシャーロット。
「………私には私的な理由で抗議してるように見える、悪いがそんな個人的な意見は聞けん、改めて出直したまえ」
「……………ですが………」
なお言い渋るシャーロットに下卑た視線を送りながらアーロンは口説き始める。
「…………あんな奴のことは忘れて、今夜は私と過ごさないか?」
「ッッッ、失礼します!!!!!」
もともと、自身が尊敬している騎士を裏で貶してるのは知っているし、嫌いな相手だがそれでもなんとか戻すよう進言している最中、口説き文句を吐いてきたアーロンに耐えられなくなったのか、ものすごい怒声と共にドアを壁に叩きつけながら退室するシャーロット。
「全く、あの無能のどこがいいのか…」
心底不思議そうに呟くアーロン
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「そんな!オーガの解体を数分でするなんて無理ですよ!」
団長室で叫ぶは騎士団に雇われたB級解体師、強靱な肉体ゆえに武器の素材として優秀だが、解体師からすればその硬い素材を傷つけず取り出すなど至難の業、一人前のB級でも出来て一時間はかかる仕事。
それより下になると二日、三日かかるのが普通だ、それを数分などできるわけもない。
だが下っ端の騎士が出来ていたという事実に疑問を抱かずやらせていた団長アーロンがそんな事情を理解できるわけもなく怒鳴り散らす。
「そんなこと言って、あの雑用が出来て本職の貴様に出来んはずがないだろう!!」
「それはその人がおかしいんですって、S級のアメリアさんくらいならできるかもしれないですけど……」
「もういい……貴様はもう帰れ、金は払わんからな」
手を払いながら、無駄な時間を過ごしたと言わんばかりに解体師を追い出す。
すると今度は大人数で女騎士達が団長室に入ってくる。
「……今度はなんだ」
面倒ごとの臭いがプンプンするが、とりあえず話を聞くアーロン
1人の女騎士が代表して口を開く。
「私たち辞めさせてもらいます」
「な、なに!!!?なぜだ!?」
「なぜって男達のセクハラがヒドイからですよ、下着ドロボー、スカートめくりに飽き足らず、ベタベタ体をいやらしく触ってきて、もう限界です」
「それは、俺から団員達に言っておくだから……」
「言っときますけど、団長が特にセクハラがひどかったですからね」
「うっ!!、そ、それは……」
「せめてエクティス君が愚痴聞いてくれたり、お菓子作ってくれたりしたから、今まで我慢できましたけど、もう無理です」
「ま、待ってくれ、あ、改めるから……」
「………わかりました……一ヶ月待ちます……改善が見られないなら私達は辞めます、それか副団長に掛け合い、女性専用支部を作ってもらいます」
今まで異性で分けずにいたことで余る資金を懐に入れていたアーロンには承諾できない話。
「ふぅ〜急場はしのいだが、なんとかしなければ…………とりあえず腹ごしらえでもするか」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「ブッッッッッッ、なんだこのクソ不味い飯は!!!?!」
見た目は普通のカレー、しかし、洗いきれてないジャガイモのホクホクとした身と土の砂利が混ざり合い口の中でこれ以上ない不協和音、玉ねぎも生のものが入っており不快、スパイスもキツすぎて辛いじゃなくもはや痛い、こんな劇物を食べ物とは言えないだろう。
「す、すみません」
「なぜこんなに不味い!」
「今まで包丁なんて握ってこなかったので……とりあえずエクティスの見よう見まねでやってみたのですが……」
「………またエクティスか!!!」
(………あいつめ、役に立ってるならそう言え、全く迷惑をかけるやつだ!!!)
凄まじい責任転嫁の仕方である。
ざまぁ展開書くの楽しい!!!




