元騎士、修羅場
まだ彼女いないのに修羅場って主人公大変だなぁ(棒読み
「デカイのか?」
「へ?」
「だからデカイのか?」
「………えっと、その、別に私はデカくなきゃ生きる価値がないとか全然思っていないんですけど、やっぱり世間一般的にデカイのは正義というかなんというか、小さいのも需要はあるし、そういうのも好きな人はいることにはいるし………」
「あ?」
「デカイです」
「………ほぅ、そうかそうか………」
物凄い冷えた顔で詰問してくるメルト、回りくどく言っても不機嫌になり、正直に言っても不機嫌になっていくことに脂汗を流すエクティス。
それとは引き換えにさっきより上機嫌になっているオリヴィエは拳を握りしめてガッツポーズをしている。
「そ、そうか!!エクスはデカイのが好きなのか!!そうなのか〜♪」
鼻歌まで歌いだしそうな勢いだ。
「………何がそんなに嬉しいのじゃオリヴィエ?………」
「はっ?!………いえ、べ、別になんでも………」
メルトの矛先がオリヴィエに変わり安堵するエクティス、しかしそんな休息も一瞬だった。
「そ、そんな師匠!拙者とは遊び、むぐっ」
すぐに口を閉じさせるエクティス、しかし敵同士でも共通の敵を見つけたら結託する人間の心理を忘れていた。
「………今何か聞こえた気がするな、遊びがどうのこうのと、どんなことをしたのじゃ?」
「べべ別に何にも言ってないですよ!」
「ほぅ、なら早くその手を退かせエクス」
「副団長様までそんなこと気にしないでくださいよ〜」
(く、くそ伝われ!)
上の方に視線が集まってるので、もう片方の手でソファーの上の牡丹の手のひらに文字を書く。
「さぁはやく」
(つ、伝わったか?)
牡丹の顔見ると少しうなづき肯定の意思を示してくる。
(よ、よし)
安心して手をどかすエクティス
「………いやぁ〜なんでもないでござるよ!拙者の勘違いでござった!アッハハハ!」
「………まぁ本人がそう言うならよかろう、流しといてやる」
「………………っていうか俺の女性関係なんて聞いてどうするんですか?」
エクティスのもっともな疑問に硬直するオリヴィエとメルト。
「………あの………?」
「…….………近年、うちの王国ではな、少子化が進んでおるのじゃそれをなんとかすべく、こちらが独自で調べ、相性のいい相手同士をくっつけるという政策を今検討中でな………」
「そう!そういうことだエクス!」
「は、はぁまぁなんとなくわかりました………そ、それで俺に相性良い女性ってどんな人なんですか?」
今度はなんか毛色の違う硬直を見せる二人。
「う、うむやっぱりエクスに相性がいいのは高貴な女性じゃろうな」
「そうなんですか!」
(メルト様の口から出ると高貴って言葉もなんか安っぽいな………)
「ああ!気高く質実剛健な女性も良さそうだぞ!」
「へぇ〜」
(可愛い物好きで料理好きな副団長様が言うとなんか変な感じするな………)
「………まぁいいや、要件はこれで全部ですか?」
「………そうじゃな」
「じゃあそろそろお帰りになられます?」
「………なんじゃ?随分急かすな、ここに妾がいては不都合か?」
「え?いえ別にそんなことないですけど、メルト様は俺とは違って忙しいのでは?」
「………ふん、今日の仕事はあらかた終わっておるから心配するな」
「そうですか………じゃあごゆっくりしてください?」
「ああ、そうさせてもらおうかの」
デカイの好きです!




