元騎士、実は一流解体師
いやぁ今回も早くかけました!
全員自己紹介が終わり、早速本題に入ろうとするエクティス。
「それで?わざわざこんなところまで来たんだ、世間話ってわけでもないでしょう?」
うなづくメルトとオリヴィエ、メルトが指を三つ立てエクティスに見せつけてくる。
「要件は三つじゃ、順を追って話そう」
(王女と副団長様がくる時点でろくでもない厄介ごとの匂いがするが、放置するにもいかないしなぁ)
そう内心ため息をつくエクティス。
「まず一つ目、勇者サトウ・ユウタが其方達に迷惑をかけた事を詫びよう、すまなかった」
「い、いやあれはサトウ?君が暴走してただけだからメルト様が頭を下げる必要はないですよ、はは、」
「さっきはああ言ったが、あの阿保を完全に制御するなど実質不可能でござるしなぁ〜」
「……そう言ってくれると助かる」
あっさり一つ目の話が終わり、引き続き話を進めようとするエクティス。
「それで二つ目は?」
「………お主が討伐した九頭龍犬狼の解体どうする気じゃ?」
「へっ??」
「………まさか、解体やってやるから分け前よこせとか言い出すつもりでござるか?」
「まぁ平たく言うとそうじゃな」
「それは横暴というものではござらんか?」
メルトは腹黒い笑顔で牡丹に笑いかける。
「いや、そうともいえんさ、九頭龍犬狼を解体できる者などそうはいない、そっちもうまく解体できなければ宝の持ち腐れ……だったら取り分は減るが、装備の素材に使えたり、売れる部位だけに切り分けたほうが楽だ、割合はお主らが8割でこっちが2割でどうじゃ?」
「………たしかに解体には困っていたところでござるしな、割合的にも納得、如何する師匠?」
どうやら二つ目の話とやらは商談らしい、九頭龍犬狼は文句なしに早々売り場になんかでないし、この割合でも元を取れると考えられるのがあの魔物のいいところだ、しかしその商談、根本的に交渉になっていないと思ったエクティス。
「………え、えっとそもそもおれ九頭龍犬狼の解体できるから、お断りします」
「……は?」
「え、解体できるのでござるか、師匠?」
「え、うん、……た、多分、前に首が八本の八岐大蛇を解体はしたことあるから、首が多いか少ないかだけの違いでしょ?」
「………解体も一流とはすごいでござるなぁ〜師匠」
素直に褒める牡丹、褒められ慣れてないエクティスは赤面しながら謙遜する。
「え?そ、それほどでもないよ、騎士団で倒したゴブリンとか雑魚の素材はいくらかちょろまかしてもバレないけど、九頭龍犬狼とか八岐大蛇は少しでもパクったらバレるし、騎士団の大体そういうレアな魔物の素材は、大貴族とか王家の一族の装備の素材に使われる……つまり下手なもんだすと物理的に首が飛ぶから誰もやりたがらないんだよ、で、そういう嫌われる雑用は俺の所に来るから死に物狂いで学んだってわけ!……まぁそのおかげでオークとかコボルトの解体はしたことないからそっちの方は全然できないんだけどなぁ〜、アハハハ」
人間調子に乗ってる時ほど長く語り、声が大きくなる、エクティスは典型的なそういう人間だった。
「うちの団員はそんなことをしていたのか……」
「…………オークとコボルトの解体はできないのに、九頭龍犬狼とか八岐大蛇は出来る?、うっ、頭が……」
「へ、ど、どうした?メルト、オリヴィエ………」
心配してつい敬称を忘れてしまうエクティス。
「………い、いや大丈夫だ、そ、そうか、解体ができるのか……」
「そ、そうですかならよかったです…………あっ、でも九頭龍犬狼は一応初めてなので国の解体師に見てもらいながらやらせていただいてもよろしいでしょうか?少しでも手順間違えたらその時点で解体師さんと変わってもらいたいんですが………」
「お、そうか、よいよいではその場合の取り分はお主が失敗したことを考慮してお主らが7割の妾達が3割でどうじゃ?」
「あ、いいですよ………ってボタンが良いならいいんだけど、どうする?」
「え?師匠が良いなら拙者も別に良いでござるよ?」
「そっか、じゃあそれでお願いします」
「そうか、なら、明日の昼頃にギルドに来てくれるとありがたいのじゃ」
「わかりました〜」
二つ目の話も終わった、いよいよ最後の話だと気を引き締めるエクティス。
「で、最後の話とは?」
「そ、それはじゃな………な、なのか?」
「へっ?すいませんよく聞かなかったですもう一度」
「……………」
なぜか赤面して黙り込むメルト、目を丸くするエクティス。
牡丹にボソボソ声で相談するエクティス。
(え?なにこれ、ボタンはさっきの聞こえた??)
(お役に立てず申し訳ない、拙者にもよく聞こえなかったでござる)
そうやって二人でボソボソ耳打ちし合っていたら、なぜか不機嫌度が上がるメルト。
またもや助け舟を出したオリヴィエ、しかし先ほど違い赤面している。
「あ、あの、えっと、そのだな、え、エクス、お前は今特定の女性と交際とかはしているのか?」
「………へっ?彼女いるかってことですか?」
相槌を打ってくるメルト。
「う、うむそうだ!」
「え〜と、そういう人は今いませんなぁ、ま、まぁそういう候補がいないわけではないですが」
「誰じゃ?」
「へ?」
「誰じゃと聞いておるのじゃ、このひっぷめがぁ!!」
「ひっ……そ、そりゃ……」
「……へ、へへでござる」
隣で恥ずかそう、しかし同時に嬉しそうに頰を掻く牡丹を見るエクティス。
なぜかこの場で牡丹と正直に言ってしまうと物凄いまずい状況になりそうな気がしたので、なんとか誤魔化そうと言い渋るエクティス。
「………え、えっとぉ〜……」
「どうした早く言え!」
なぜかオリヴィエまで凍てつきそうな冷たい目でエクティスを詰問してくる。
「…………あれですね、ギルドの受付嬢さんですね!!」
(すみません受付嬢さん……でも、よかったらお近づきになりたいなぁ)
主人公ほんとに騎士なの?(小並感




