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プロローグ

久しぶりに書きたくなったので書きました。よろしくです、

「拙者に手取り足とり教えて欲しいでござる………」


綺麗で艶がありまるで夜空のような長い黒髪を一つにまとめ、ここらでは見ない珍しい服、キモノ……だっただろうか、キモノにブーツという奇抜な格好ながらも不思議と不快感はなく、むしろこの上なくマッチしてると感じる。


豊満な胸と尻を持っている美少女が上目遣いで谷間を見せつけ、こんなことを俺に言ってきている。


(……どうしてこうなったんだっけ??)


話は遡ること数日前




◆◆◆◆◆◆◆




「お前クビな」



 王国騎士団の団長室。

 団長アーロンはなんの脈絡もなく一方的な解雇通告を俺に告げた。



白と黒がコントラストとなっている髪、ダークブラウンの瞳、中肉中背、何処か頼りなさそうな少年はただ呆然と呟いた


「はい?」


 一瞬頭が真っ白になった、否、理解することを拒んだ。


 しかし感情なんてものは時間が経てばたやすく冷やされ、冷静にさせられる。


 冷静になってしまえば必然、相手の言うことを論理的かつ合理的に受け止めれてしまう、それが人間というものだ。


 事実、少年、エクティス・ウォーカーは団長の言葉の意味を把握した。


 だが、理解するのと解決するのはわけが違う、

 理解したところで打開策がなければ破滅的未来しかない。


 しかしそんな都合のいいもの下級騎士であるエクティスに用意できてるわけもなく、額に脂汗をかきながら必死に頭を回転させるが時すでに遅い。



「だからクビだって言ってんの」


 下級騎士の都合などどうでもいいのだろう、容赦なく追い討ちをかけてくる団長、もちろん納得できるはずもなく猛抗議するエクティス。


「い、意味がわからないです!!なんでいきなり………」


 さも面倒そうに眉を寄せる団長。




(……だがこちらも人生がかかっているので説明ぐらいされなきゃ辞めるに辞められない)





「はぁ……お前魔王倒されたのは知ってるよな?」



 溜息をこぼしながら質問してくる団長、なぜその質問なのか要領を得ず、困惑しながら返答するエクティス。


「はい、まぁ噂くらいは」


「それでさ、魔王がいなくなったんなら騎士団は必要ないとか市民が言い出してな、「武力があるから戦争が起きる!武力がなければ人類皆平和!」とかなんとか、まぁ流石に騎士団を無くしてしまうと魔物だったり他国の侵略だったりに対応できなくなるから流石に廃止は不可能、と国王は言ったんだが………それで納得するなら苦労はしない、妥協点として軍備を縮小することになったわけだ」




 (………団長の説明を噛み砕くとつまり…………)




「…………その一環として団員を何割か解雇する……ということですか?」

「そういうことだな」

「そんな!」

「運が悪かったと思って諦めてくれや」

「ですが!なぜ俺なのですか?!俺は十年間真面目に働いてきました!」




 子供の頃、何不自由ない生活とは言い難いが、両親と妹、男友達に幼馴染の女の子、貧乏ながら楽しい日々を送っていたエクティス、こんな日々が永遠に続くと勘違いしながら。



 住んでた村が魔族の襲撃に遭い、両親は俺と妹をかばって死に、妹は逃げる途中で逸れ、友達はどういう過程辿ったかすら知らない、彼一人生き残った、いわゆる孤児というやつだ。


 騎士団に保護され、行くところもないのでなし崩し的に7歳の時に入団し17歳の今日まで休まず働いてきたのだ。


 もちろん子供に騎士の仕事は身に余るし、孤児なんか周りの騎士からしたら優しく接してやる義理などない。


 それでも他に行くところが無いので死ぬ気で頑張り、自分にできることはなんでもやった。


 掃除洗濯料理などの雑用は比較的子供の体でもできたのでよかった。


 しかし何度も心が挫けそうになった、なぜかというと他の奴らの仕事を押し付けられたり、模擬戦とか言って刃が潰してある剣でボコボコにされたり。


 他の騎士の気分で日常的に殴られ、蹴られ、地に這い蹲り泥水を飲まされたり。


 機嫌を取り損ねると魔法をぶっ放してくるヤンチャなクソガキ様の対応をさせられたり。


 副団長様に料理を教えてほしいと頼まれ、失礼した瞬間に首を飛ばされるんじゃ無いかとビビりつつ指導したり。


 他の男達が女騎士に下品な言動や行動をして、不愉快にしたお詫びにお菓子やら料理やらを持って謝罪しに行ったり。


 後輩のヘマをかばって責任を全て背負ってただでさえ安い給料を減給されたり。



 仲間に囮にされて戦場のど真ん中に置いていかれたり。


 好き勝手に動く奴らをなんとかサポートして戦ったり。


 一週間不眠不休で仕事させられたり、と過酷な仕事でも挫けずに働いてきたのだ。


 必死に仕事をこなしてきた末、こんな風にクビにされるなど冗談にしても酷すぎる。


「あのさ、お前なんか勘違いして無いか?、お情けで騎士団に入れてやってただけの他人だろうが、今まで食わせてやっただけ感謝するのが普通だろ」


 団長の言葉を聞いた瞬間、頭を鈍器で殴られたような衝撃が走る。


 騎士団の仲間達は確かにムカつく奴らが多いがそれでも家族同然に考えていたエクティス。



 (……そんな風に思われていとは、いやそう考えてるやつもいるだろうなと思っていたがまさか団長までそうだったとは)




「「長年働いてきましたぁ〜」って言ってもお前雑用以外なんかしたっけ?誰でもできることやってただけだろ?」



(…….そうだな、そうだよな、誰でもできることを長年やってただけの俺なんてただのサボリ魔だと思われていたのだろう)




完全に心が折れたエクティスは投げやりに返答した。





「…………わかりました」

「よしお前にしては物分かりがいいな、ほら、最後の給料だ」



「………はい、ありがとうございます…………」


何も感情を挟まず返事をした。


 エクティスは金が入った小さい袋を持ってトボトボ退室した。










早めに続きをあげるようにします

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