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戦闘開始

「アルス様、ハック様、可能な限り人を殺めないように注意してください。世界を復元する際に歪みが生じてしまいます」


「了解した。出でよルカ」


 アルスは自身の身体に宿らせている水の聖霊獣を呼び出した。


「我になにようで?」


 珍しい言葉遣いをするこいつはイルカのような姿をしている。


「催眠音波を放て」


「かしこまりマスター」


 聞いたことのない技だが、俺は瞬時に手で耳を塞いだ。


「キェー」


 耳を塞いだ為、よくは聞こえなかった。その音を聞いた者たちは泡を吹きながら倒れた。

 だが、倒れない者もいた。エキセルだ。

 こいつこそ邪霊人である。


「面白い技を使いますねぇ。水の聖霊獣とは懐かしい」


 エキセルは手を叩きながらそう言った。


「良いでしょう。私も邪霊獣を使うとしましょう」


 奴はふところからキセルを取り出し、一服しだした。

 すると、地面から赤色の粘液が噴き上げた。まるで間欠泉のようだ。

 しかし、熱くはない。


「それでは始めましょう。わたくしは偉大なる巫女ケムリ様の足元にも及びませんが、貴殿方を葬る位の力があるでしょう。

 憑依一体、黒煙凝固亜人!!」


 奴の身体が粘液に覆われていく。

 そして人の形となった。


「私は例え勝つ為でも、卑怯なことはしない主義でしてねぇ。明確な勝敗の決め方を決めましょう」

 

 聖霊と邪霊由来の存在は身体を一時的に喪うことあっても、復活できる存在である。

 故に、死の概念が存在しない。


「そうですねぇ。貴殿方は世界復元の為に殺しはしない主義でしょう。なら、こうしましょう。

 封印をされたら負けにしましょう。

 いかがですか?」


 俺たちの意見は決まっている。


「聞くまでもないですね。では開戦といきましょう」


 奴は口から炎を放ち、俺達と自身を囲むように地面を炎上させた。俺達は逃げられなくなった。

 だが、俺達は臆することもせずに武器を取り出した。

 アルスは魔導書"First Library"を、ウィンダは"翡翠のオーブ"、俺は"ライセンスナイフ"を取り出した。

 その中で最初にアルスが行動を起こした。


「行くぞルカ!!、秘術ソウルアーマード」

「かしこまりマスター」


 アルスの呼びかけに精霊獣ルカが応じ、彼の胸に飛び込んだ。すると髪と服そして目の色が水色に変わっていった。


「精霊人アルス·アルカリミクスチャー爆誕」


 元アルスはそう言い放つと、地面に拳を突き刺した。

 その拳の中心から魔法陣が広がっていった。


「凍結術式13展開完了」


 アルスのその言葉にエキセルは笑いながら返した。


「ふふふ。いやはや、面白いことになりましたねぇ。こちらの炎の壁こそ封印陣だと見抜くとは流石ですねぇ。

 それに、逆位相の陣を展開して打ち消し合うとは実に賢い選択ですねぇ。

 ですが、大人しく封印されればいいものを、仕方がない。戦いましょう。あなた方と互いの正義の名のもとに」


 奴の赤い粘液のような体は、部分的に硬質化していき、やがて全種が固まった溶岩のような色に変化した。


「では、いきますよ」


 奴はアルスに向かって右の拳を振りかざした。

 俺はアルスを守るために、奴の攻撃を受け止めた。

 なんて威力だ。骨がきし)む。鋭い激痛。

 こんな攻撃はあと一回位しか受け止めることが出来ない。

 俺が受け止めている隙にウィンダが術を発動した。


「ウィンドカッター」


 強烈な風が瞬間的にエキセルを斬りつけた。つけた傷口から粘液が噴出する。急な攻撃に対応できなかった奴はバランスを崩した。

 その刹那の隙を、俺は追い打ちをかけるようにライセンスナイフを傷口に挿し込んだ。

 だが、奴は何事もなかったかのように語りかけた。


「彼女の攻撃ならまだしも、ハック殿の攻撃では、この私にダメージを与えることは出来ませんよ」


 ダメージが無いだと……。奴の全身には裂傷が見えるがこれでもダメージを受けていないのか。

 

「これは、失礼。邪霊由来のものに傷をつけるには同じ(あるい)は同等の力が無いと概念を傷つける事はできませんよ」


 俺もといこの武器ライセンスナイフではだめなのか。

 俺は術は使えない。思い出すんだ。以前も俺は邪霊を紛いなりにも倒したんだ。

 その時はたしか、敵のコアを破壊して倒すことができたんだ。奴のコアは何処だ?

 たしか、キセルを使ってあの姿になったんだ。キセルに違いない。

 俺は奴の姿を再び確認した。だが、キセルは持っていない。


「キセルは何処にいったんだ」   

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