失われし歴史の魔剣
エキセルを封印した俺たちは、統括者の業と呼ばれる機械を修理していた。強制的に動力を落とした影響はかなりのものだった。
まず、起動すらしない。
原因はエネルギー切れだ。動力源は信仰心。
信仰心と言っても、崇め立てられるとかの、大げさなものではない。
存在が知れ渡る。ただそれだけだ。
脳がそれを認知すれば、本人の意識とは関係なくある種のエネルギーが統括者の業に向く。
そういった未知の力を用いてこれは動いている。
本来の機械の機能としては、民を軽い催眠状態して法に反する事をしようとすると、強烈な罪悪感を感じさせることである。
そのようなものだが、使用用途外の運用を行うと、エネルギーが切れて催眠効果がなくなる。そうすると、今までの鬱憤が爆発して革命が起こされて最終的に断頭台に載せられるはめになる。
故に装置の名は統括者の業なのだ。
修理をしようにも、俺はこいつの事はよくわからん。
修理はアルスたちにまかせて、俺は旅支度をしよう。
それにしても、アルスの封印術は前よりも強化されていたな。以前の封印した時は、あくまでも邪霊獣を物質と化すものだったが、今回のは邪霊獣の残骸すら残さずに完全にこの世界から消しさった。
物が無いだけに誰も封印を解くことができない。
実に素晴らしい術だった。俺もそういう事ができれば、アイツらの助けにもなるだろう。
何よりも、アリウムの側に居続けることができる。
そう思いながらある場所に向かった。
*
ここは、アルスが以前封印した邪霊獣が眠る場所だ。
墓標として長剣が刺さっている。
眠っている者はかつてリーグと呼ばれていた。
邪霊の巫女であるケムリに体を乗っ取られて邪霊獣となった。
奴は俺の依頼人だった。確かにそこに存在しているが、"名前使い"と呼ばれる血族にしか辿りつく事が叶わない"ハテノ村"への現地調査を俺に依頼した。
当時の俺は疑問に思わなかったが、別にその血族はそこまで珍しい存在ではなく、探せば普通に見つかるようなありふれた存在なので、直接案内をしてもらえばよかったのだろう。
もっとも、血族を片っ端から拉致し、拷問をするような強硬策を取ったため、誰一人としてを口を割らなかった。
まあ、この世界と違う歴史の話をしても仕方がない。
待てよ、歴史が異なっているのになんでここに剣があるんだ?
確かこの剣は邪霊使いの巫女の"ケムリ"が力を行使するために使った装置だ。
歴史改変を行い、こんな気持ち悪い世界を創り上げた者がケムリだという確証はないが、邪霊獣を生み出せるのはケムリだけだ。
どんな形であれ何かを企んでいるに違いない。
唯一残された手がかりの剣を地面から抜いた。
ここにあるのはコアが抜き取られたガラクタ。所詮はただの装置の外装でしないものだ。
だが、少し形状が異なるような。
実際に手で持ってみると、持ち手部分にスイッチがあった。天に掲げながら押すと、そいつは強烈な衝撃波を放った。
すると、空、いや、大陸を覆う結果が破壊された。
俺は様子が気になり、アルスたちの元へ戻った。




