プロローグ
ある日を堺に世界は大きく変わってしまった。
更地が緑豊かな山となったり、月が3つになったりもした。何よりも大きな変化は、人々は誰でも“異能力“を扱えるようになった。
だが、そんな中でも俺は能力を使えなかった。
この世界は変わり過ぎた。人がいるにも関わらず、人物関係や過去の出来事すら変化してしまっている。同一人物でありながら相手は俺の事を知らない。
俺の回りからの認識も変化した。
気がついたら王様になっていた。
元々、似たような権限を持っていたが、それが変質したからだろう。
だが、肩書きだけのもので権力はもたない。
それは元の世界でも変わらない。
例外的に権力を使う方法があるが、あの一件から動作不能となった。
この世界は気持ち悪い。
世界の全てが浮世離れしすぎている。
あの村の住民も大分浮世離れしているが、それでも違和感というものはなかった。
こんな世界ってしまっているが、一人でも元の世界の記憶を持っている人がいたら会ってみたい。
そうすれば、胃のキリキリもよくなるだろう。
待てよ、あいつならきっと何かを知っているに違いない。
彼女を連れてくるように頼んだきり帰ってこないあいつなら事を解決できるはずだ。