ギフト。
「魔術師というのは誠だったか」
王は言った。フェルナ姫は僕のヒロイン候補のお母様、王妃にしがみ付きながら『死刑!死刑!』と大声を上げているどうやらムシカの呪いは溶けたようだ。そして僕は実感する。本当に僕はムシカの呪いを解くことができるのだと。
「フェルナ・・おぉ・・フェルナ・・!」
「お父様!! 一体何があったのですか!」
フェルナ姫を抱きしめる王と王妃。僕はそれを眺めながら家族を体現するその光景に世界は平和なのだろうと目を細めた。
「お前は後少しで死んでしまうかもしれなかったんだ」
「えぇ?」
「よかったわフェルナ、元気になって」
僕はその場にいるのがなんだか落ち着かなくてムシカたちを見る。ムシカは僕にため息交じりに微笑んでみせプラモはニコリとはにかんでいる。とりあえず一刻の姫君が死ぬという最悪のシナリオは回避できたのだろう。
「お前、名は?」
王が僕に聞く。
さぁ、ここからがこの先の未来の話だ。
死刑だけは避けたいところだが・・・
「僕はボレロ・マダビッチ」
僕は頭を深く下げ名前を言う
「ボレロ?ボレロだと?」
ん?
王は僕の名前を聞くと声を上げた
「じゃあ、お前がマーカスの使者か?」
マーカス?マーカス団長のことか?
「マーカスさんは僕が前働いていたサーカスの団長の名前ですが・・」
「なんと・・!」
僕はこの時初めて気がついた。そうだ。もともと王都にに迎えと言っていたのはマーカス団長じゃないか。何か手招きをしてたに違いない。もっと早く名前を言えばよかった。だけど『ピラノ』の王と交流があるなんて、一体マーカス団長は何者なんだ・・?
「すまんな。色々あったにせよ。君がマーカスの使者と知っていればこんなことには・・兵士よ!早くその者たちの枷を外すのじゃ」
王はマーカス団長の使者だとわかると態度を変えてムシカとプラモの枷を外すように促した。だがムシカもプラモも枷などもう外していて兵士は困惑する。僕は何がなんだかわからないまま王を見る
「君はギフト保有者なのだろう」
「なぬ。ギフト保有者?」
王が僕に言う。いつの間にか僕の隣に来ていたムシカが声を上げる。
「童貞、お前ギフト保有者なのか?」
「え・・うん」
僕はムシカの問いに答えた。そう言えば話していなかった。
この世界にはいくつものギフトが存在する。世界は何か一つに統合されることはないからギフトにも沢山の種類がある。まずその話からしよう。
『ギフト』
世界には様々な『ギフト』がある。
先ほども話したが王族のギフト『目の色』なども『ギフト』なのだがつまり特殊な何か。は『ギフト』と呼ばれる。
生まれた時から持ち合わせていない、何かから授かった特殊な何か。これを総称して『ギフト』と言う。
王族の場合はその王族と契約を結んだ何か。
つまり守り神的な者からの『ギフト』それが目の色なのだが。効力については僕も知らない。では僕の『ギフト』とは
「ボレロは何からそれを授かったのだ?」
ムシカが聞く。そう、そのギフトを授けたものっていうのが大事だ。僕に『ギフト』を授けたのは
「なんじゃ?連れは知らないのか?彼のギフトそれは100年祭のギフトだ」
そう100年祭のギフト。
「何?100年祭のギフトか?」
そう『100年祭』
ということで100年祭を説明しよう。
昔、ダンジョンを作った神たちは一向に攻略されないダンジョンに退屈していたそうな。そこで100年に一度神からのプレゼントを送ることにしたそうな。それが100年祭。詳細はダンジョンの最新の攻略層から一つ上の層にいる魔獣をダンジョン外に出すというとてもはた迷惑なお祭りだ。だがその魔物を倒したものにはその魔獣の力を自分のものにできる『ギフト』が授けられる。ダンジョンができてから1000年とちょっと。つまり行われた100年祭は10回、その10個のギフト内の一つを僕は持っているという訳だ。
このギフトは血縁関係者に継承される。つまり本来のギフト保有者は僕のおじいちゃんにあたり僕はその孫となる。
神は早くダンジョンを攻略してほしいのだ。そのためにこちら側になんとかその力を送り込むのだけどそれでもいまだにダンジョンは攻略されない。しかも年数がたてばたつ程ダンジョンは攻略されていくが100年祭もそれに応じて強大なものになっていく。だって攻略した層の一つ上に住んでいる魔獣がダンジョンから出てくるのだから。
ダンジョンは進めば進むほど魔獣も強力になるしダンジョンの魔獣達が出す世界の被害は相当なものだ。
なので現在では100年祭が行われるときはその世界で10人しかいない『ギフト』保有者をこのダンジョンから一番近いとされる大国『ピラノ』に集め総力戦に出るのが習わしだ。そして僕はマーカスさんに『ギフト』保有者だというのは知られていた。まぁ、なんのギフトかまでは話してなかったが。どちらにしろ100年祭が近くなれば『ピラノ』に向かわなければならなかったのだ。
「童貞、我々はいつになればダンジョンに向えるのだ・・」
「確かに、ダンジョンからどんどん遠ざかってはいるけど現ギフト者が集まるから仲間にできるかもだぞ?」
ムシカのツッコミに僕は頬をかきながら話す。
「ボレロ結構すごい人だったんだね」
プラモが言う。うーん。僕のギフトは正直呪いに近い気もするけど・・
なぜならこのギフトのおかげで僕が成人し、いい大人になった今でも童貞であり、尚且つダンジョン攻略を途中で断念し酒場で飲んだくれになったのだから。
「で、君はなんのギフトを継承したんだ?」
そこで王が話す。
「僕のギフトは・・」
僕が答えようとしたところでフェルナが大声を上げる
「お父様!私はまだそいつを許してなんていないんですよ?!」
「ちょっと黙っとれ」
「キィイイイイ!!」
僕はごほんと咳払いをして出会い頭に汚物まみれにし、挙げ句の果てにムシカの呪いで殺しかけた姫を横目に話を進めた。
「僕が授かったギフトは、狂戦士です」
そう、それが僕のギフトだった。