玉乗りボレロと赤毛幼女
世界の中心に位置する大大陸『ゴットオブザランド』その名の通りそこは神の土地。
そこに大昔、神様の気まぐれが落ちたそこには大きな穴があきみるみると層ができたという。それが『ゴットオブザランド』の『ワールドダンジョン』、そして神は全世界にその声を轟かせたという。
『子供達よ、この100階層のダンジョンを冒険せよ、その最深部に行き着いた者には誰もが羨む褒美をあげよう』
そして世はまさに神の気まぐれが招いたダンジョン時代に突入した。
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「ダンジョンダンジョンうるさいんだよーこっちは生活かかってんのわかる??」
はい。僕、今作の主役やらせてもらってますボレロ・マダビッチです。
名前にもありますが僕ビッチになりたかった系男子です。
「おい!おっさん!!俺はこれからダンジョンに行くんだ!!そこをどけ!!」
「誰がおっさんだこらー!お前みたいな毛も生え揃ってない小僧なんかに行けるわけないだろーがぁっ!!ペッペッ」
「うわぁぁぁぁぁあっんママぁぁぁぁ」
僕は暴言を吐く子供に大声で泣かれ顔をしかめた。
ダンジョンダンジョンって、世界はそればっか。こちとら明日の食うもんのために働いてんのによぉ。僕はぼやく。
僕が働いてるのは移動しながらいろんなところでショーを行うのサーカス団、『マーカス劇団』だ。自慢じゃないが僕はそこでピエロのエースをはっている。『玉乗りのボレロ』といえば僕のことだ。
この世界の中心の大大陸『ゴットオブザランド』は本当に馬鹿でかい。この大陸を歩いて一周するだけでも何年もかかるほどだ。その大陸のど真ん中にある『ワールドダンジョン』には世界各国からツワモノが集まりその最深部へと潜る毎日を送っている。明けども暮らせどもダンジョンダンジョン。僕はそんなダンジョンには見向きもせずこの『マーカス劇団』で汗水流して働く。
え??何を生きがいに生きてるかだって??そりゃ・・・女の子だろ。
神様、僕はね金銀財宝・・まぁそれもいいけど、僕の願いは女の子と一度でいいからあっつい恋したいんだよ。
「ボレロー!!」
「はーい!マーカス団長ーどうしました?」
僕はサーカスの小道具をかたずけながら移動の準備を進めていた。そんな僕は団長のマーカスさんに呼ばれる。僕は作業を中断してマーカス団長のテントに入る。
「マーカス団長、何でしょうか?」
「みろ!ボレロ新人だ!!」
はぅっ?!?!
そこにいたのは紛れもなく女だった。奴隷服のような黄ばんだブカブカの服を纏って手にはなぜか手袋がしてある。真っ赤な燃える赤い髪と瞳小さな顔そして・・・小さな・・・あれ・・小さすぎないか・・・??
「団長・・?この子・・いくつですか??」
「貴様ぁぁ!!妾を愚弄するかぁぁ!!」
「おぉうっふっ・・」
そこにいたのは真っ赤な髪とクリクリのおめめの幼女だった・・・。
「おーよちよちよち、怒んないんだよー?べろべろバァっ」
「うむ。良きに計らえ」
え??今のはいいの?!?!じゃぁ僕も・・機嫌とっとくか・・
「べろべろバァー。」
「貴様ぁ!!打ち首じゃぁぁ!!!」
「ヒィっ!!」
どうやら僕は幼女にまで好かれない体質らしい・・別にいいもん。あんなちんちくりんじゃなくていつかビックボインとイチャイチャしてやるんだから!!!
「じゃぁ僕戻りますねー」
僕は溜息をつきながらマーカス団長のテントを後にした。でもあんな幼い子供をサーカスに入れるなんてマーカス団長は何を考えてるんだ・・あの子のあの格好どっかの奴隷商人から買ったのか?
僕は中断していた作業に戻る。うちはかなりまともな劇団で動物や魔獣といった類にもちゃんと猛獣魔獣使いがいる。悪どいところは猛獣魔獣使いがいないにも関わらず鞭と暴力だけで従わせているところもある。後はショーとは名ばかりの見世物やとか世界は意外とグレーだ。そんな世界でこんなにまともに人を喜ばそうとしている職場に入れただけ僕は幸せなのかもしれない。
僕はあらかた作業を終え一息ついていた。
ここはとある森の中、昨日のショーを終えこの森に荷物を降ろし一晩を過ごした。目の前には大きな湖があり僕はその湖をぼんやりと眺めていた。さっきのダンジョンダンジョンうるさい子供がまだそこらへんをウロウロと歩いている。
僕は絡んでこられても嫌だったから子供に背を向け森を軽く散策し出した。
結構広いんだなー、迷うといけないしあんまり遠くはいけないな。僕はそう思いながらどこからか水がなんどもパシャパシャとはじかれる音がするのに気づいた。
どっかで誰かが水浴びでもしてんのかな・・・?
僕は女の子であることを願いつつ音の方へ足を向けた。そして僕は茂みからその音のする方を覗いた。
そこに居たのはまさに美少女だった。
燃えるような赤い髪と赤い目そして大きな胸とその滑らかな・・・
あ・・・あれ?なんかさっきの幼女にそっくり・・・
「誰じゃ・・・」
しまったっ!!僕は体を丸めて茂みに身を潜めた
「何じゃ、さっきの童貞か・・・」
「なっ何で僕が童貞だってわかるんだ?!」
僕は茂みから思わず顔をあげてギョッとした。
素っ裸の美女が僕の目の前にいるではないか・・・
「お・・・お・・おぱ・・・」
「童貞くさくてかなわんな」
「おぱぁぁぁぁぁああああっ!!!」
僕は鼻血を噴射しその場で気を失った。
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僕はその日の夕飯時、劇団の笑い者にされた。
「ボレロのやつ子供の裸見て鼻血出して倒れたらしいぞ」
「がはははははっ!しかもおっぱいって叫んでたらしい!!」
あーだこーだ、夕食の間中ずっとその話題。
「黙れって言ってんだろォォォオオオ」
「「ぎゃぁぁぁぁあぁあああああ」」
僕をバカにして大笑いしているこの髭もじゃのオッさん二人はナイフ投げの双子ルーとポポだ。
いつも僕をバカにしてくるこの双子は瓜二つの顔で言うことも同じだから僕の苛立ちも必然的に2倍になる。
「でも、ボレロ?流石に幼い女の子の裸を見て興奮するのはいけないわ」
そう言いながら僕に軽蔑の視線を送る彼女は踊り子のルーラ、うちの看板娘だ。
ながい金色の髪を綺麗に巻き上げ見えるうなじがたまらない。僕がこのサーカスの一員になったのはルーラの踊りを見た事が大きい。彼女は美しかった。
「ププっだっさい男じゃ。童貞臭いくせに女子の体にも免疫がないと見える」
「うるさいガキっ!!」
でも、僕が見たのは確かに大人の女性だったはずだ・・・。僕は目の前にあるパンを口に突っ込んだまま幼女を盗み見た。確かに将来有望な顔立ちだが子供であることは確かだ。
「さぁ。お嬢様みんなにお名前を紹介してくださいますかな?」
マーカス団長に恭しく手を取られ赤毛の幼女がぺこりとそれに答える、以前手袋をしたその小さい手で団長の手をとる。
「うむ。我が名はムシカと申す。皆の者よろしくである。」
その変な話が少し鼻にかかるがああやってる分には可愛い幼女であった。僕等は笑顔でその幼女に歓迎の拍手をおくった。
僕らの夕飯は終わり、その片付けを始める僕と団員たち、するとあの幼女ムシカが僕の服の袖をひっぱってきた。
「時に童貞よ、わしは森の奥でいいものを見つけた、お前をついてくるがいい」
「んー?」
幼女であろうと女だ僕は森の奥の良いものというワードを幼女から聞きなんとなく興奮する。
「発情するでない、童貞とはそうも節操がないのか」
「勝手に決めつけないでくれるかなぁぁ?!」
僕は慌てて否定し、片付けもままならないまま幼女とともに森に入っていった。幼女は暗い森をスタスタと歩く僕はその後ろをついていく、そして僕等は小さな穴を見つけた
「みよ。」
ん?なにかの巣穴か?
僕はその穴を覗き見るそこにいたのは低級魔獣のバルクックだった。四足歩行のアライグマのような出で立ちのその魔獣はダンジョの上層部でよく出現する魔獣のひとつだ。
「バルクックじゃないか?」
「そうじゃ」
「こいつがどうしたんだ?」
「怪我をしておる。治してやれ」
え?え?え?いやいやいや、無理ですよ無理。
僕治癒なんてできないし、相手魔物だし・・
「嬢ちゃん、流石に魔獣は飼うことはあっても治療することはないんだ。それにサーカスのテントにも連れて行けやしないよ。バルクックなんて珍しくもないから客も見にこないし調教することもない」
「たわけ、可愛そうではないか!!」
ふんむぅーっなんなんだこの子は?
「まぁ?バインな女の子にそんなこと頼まれれば血反吐を吐いてもこの魔獣を治癒してやってもいいが、君みたいなぺったんこちょんちょんの頼みは聞かないな」
ま、そんなことできないけど。
僕はそう言ってムシカの頭をポンポンとなでてテントに戻ろうと踵を返した。
「ほう?ぺったんこちょんちょんではなくバインであれば治してくれるのだな?」
「そうそうバインだ、バイン」
僕は笑いながら幼女に振り返る、そして僕はその目を大きく見開いた。
メキメキと音を立てて大きくなるその幼女を着ていた奴隷服のような服がピチピチになり大きな双丘が苦しそうに服の中で溢れ出そうとし太ももの際どい線が露わになる。
ハァァァァァ?!
「妾は、バインだ!さぁ!治せこの童貞!!」
バイン?!?!
「な、なんなんだ・・お前・・・」
「つべこべうるさいのぉ!!早治せ!!」
はぁ?!はぁあ?!なんでぺったんこちょんちょんがこんなナイスバディになるの?!なんでぇ?!
「貴様、まさか治せるなどという嘘を妾についたわけではあるまいなぁ?!のう?その使い所のない玉袋をわしがぷちっとしてやってもいいのだぞ?のう?」
玉袋をぷちっとぉおおお?!僕は思わず自分のモノを両手で隠した。
「妾ではこの子を治してやれぬ。はやくしろ」
いやいやいやぁ!!僕そんなことできないってぇ!
「ぽ、ポーションとか、取ってきましょうか??」
「ならぬ」
ならんのかぁあい?!
「良いか童貞、お前のありったけを込めて血反吐を吐きながらもこやつを治すのだ」
なんなんだぁ?!そんなにこのバルクックが好きなのか?!そうなのか?!
僕は押し切られながらバルクックの前に立った。なんだかかなり弱っていたが目立った外傷はないピクリともしない。
「こいつ、なにがあったんだ?」
「さぁな、さぁ治せ」
くぅ。治せ治せって、バインに強制されると心なしか興奮するぜちくしょうっ!!
僕は血反吐を吐く気持ちでバルクックを撫でた頼む頼む頼む頼むぅー!!バインの願いは断れない!!治ってくれぇバルクック!!!僕はぐぬぬっとその手にバインの愛を込めた。
すると、バルクックの身体が緑色の光を放ちだす。
「うお?!なんだ?!?!」
「おぉ!!」
バルクックから紫色の鎖のようなものが出てきて僕の手のひらに吸い込まれていく
「うぁ!!なんだこりゃああ?!」
「なんと?!」
そして、バルクックの体から出てきた鎖を全部飲み込むとバルクックは嘘のように元気になっていく。
「これ・・・」
「やはり!!童貞をこじらせた男は魔法使いになるというのは本当であったか!!」
へ?えぇぇぇえええ?!
「童貞よ妾とともにあの憎っくきダンジョンを制覇しようではないか!!」
「な、なにいって・・・」
バインが目の前で揺れに揺れる、僕は目がギンギンになる。
「のぅ?いいじゃろう?のぅ??」
「お、お、おパァあああああああっ!!!」
そして僕は盛大に鼻血をばら撒き本日2度目の意識を手放したのだった。
不定期更新です。