第1話 エロおやじ、異世界へ逝く
初投稿です。
文章が読みにくいとは思いますが、生暖かく見守って下さい。
いつものように
いつものように朝起きて。
いつものように支度をして。
軽1BOXに乗り込み、いつものように会社に向かう。
前は営業の仕事をしていたが、朝は満員電車に揺られ、昼は営業で歩き回り会社に戻ればノルマノルマと上司にどやされる毎日。
15年務めた会社を辞め、転職したのが半年前。
車で20分ほどの距離の場所に新しい会社はあった。
通勤のための車は中古で買った年代物で色は黒。維持費も安いし、中も広い。余裕が出来たら、ぶらりと遠出するのも良いかと思い1BOXにした。
毎日、会社に向かう途中のコンビニに寄り朝食を買う。サンドイッチ、缶コーヒーそして袋入りの飴を買い一言二言店員のおばちゃんと話をして店を出る。そして車に乗り込みコンビニの駐車場から出る。
出て少し走ると線路や国道を跨ぐための長めの地下道を通る。その入り口へ差し掛かった時に、最近は聞かなくなったピヨピヨピヨ・・・・・・という音がスマホから聞こえてきた。
(地震か?サッサと通り過ぎれば大丈夫だろう)
地震大国の日本、多少の地震じゃ地下道なんて崩れる事も無いだろう。
ヘッドライトを点灯させ地下道に侵入していく。
地下道の中ほどまで来た所で、走行中でも分かるほど大きな揺れが襲ってきた。
「これ、駄目な奴だ」
そう呟くと同時にトンネル内の電灯が消える。
ブレーキを踏み停車させると地震は続いているのか、まだ揺れてい。ヘッドライトの向こう側から土煙が上がり、こちらに向かって来るのが見える。ものすごい轟音と共に前の方から天井が崩れてくる。後ろを見たが、後ろも同じような状態だった。
「これ、死んだな」
そう呟くと同時に、意識が暗転した。
目を覚ますとそこは、真っ黒な空間だった。
真っ暗ではなく、真っ黒なのだ。
そして真っ白な空間でもあった。まるで宇宙空間で足元に銀河を見るような。
「・・・・・・綺麗だ」
その美しさのため、思わず声に出してしまった。臨死体験をした人が、よくお花畑を見たというのは、これの事だろうと思った。
「ありがとう」
不意に助手席から声が聞こえた。助手席?
「えっ?」
そこには仙人の様な髭を蓄えた白髪の老人が何も無い空間に座っていた。そして自分も車のシートに座る様な格好でいる事に気が付いた。
「えーと、どちら様でしょうか?」
「そうじゃのぉ、お前さんたちからすれば儂は、神という存在かのぉ。」
「失礼しました」
女神じゃないんだな。などと考えていたら心を読まれたのか男神様が言葉を続ける。
「女神じゃなくてすまんのぉ、奴らは皆、他の事が忙しいらしくてのぉ。」
「で、ここは死後の世界ですか?私は、トンネルの落盤で生き埋めになったはずでは?」
「お前さん、こっちの世界ではちゃんと死んだぞ。それでだ、死んだお前さんに、ちょいと頼みがあってな」
「頼み事ですか・・・・・・」
「お前さんたちの世界、地球世界を真似て作った世界があるんじゃが、剣と魔法の世界で、文化レベルは中世ヨーロッパに近い世界かのぉ。そこに行ってほしんじゃが」
「そこに行くだけじゃないですよね?」
「うむ、そこに行って魔石というのを集めてほしいのじゃよ」
「もしかして、モンスターとか倒して魔石を入手しろとか?」
「まあ、基本的にはそうなるかのぉ。だから、そのための加護も与えるし、一定量の魔石を集めてくれたなら褒美も与える。」
「そうは言っても私はごく普通の日本の一般人ですよ。軍人でもなければ武道の経験も有りません。どうやってモンスターなんかと戦えというんですか?」
「そのために加護というものが有るのじゃよ。剣のスキルでも魔法スキルでも、どんな魔物でも倒せるくらいに強くしてやれるぞ。強ければ女にモテるぞ。」
「女にモテるのは嬉しいですけれど、もし断ったらどうなりますか?。」
「お前さんの魂は輪廻の輪に乗り、今の記憶は無くなる。次に生まれ変わる時には人として生まれてくる確率はかなり低いじゃろうな。まぁ、次に生まれ変わるのは虫かなにかじゃろうて。もし向こうの世界に行ってくれるなら、今の記憶をもったまま、その体のまま行かせてやる事が出来る」
「虫って、ほぼ強制じゃないですか」
「選ぶのは、お前さんだからのぉ」
「中世ヨーロッパ何ですよね」
「あくまでも、それに近い感じじゃな」
「食生活や衛生面がなぁー」
「あまり考えてる時間も無いんじゃがの。お前さんの遺体が瓦礫の中から見つかって、死んだのが確認されてしまうと、自動的に輪廻の輪に乗ってしまうからのぉ。」
「それじゃあ行く方向で考えますけれども、今の便利な生活を捨てて、数百年前の文化の世界で暮らせなんて無理です。戦うスキルなんて要らないので、今の生活レベルの保証をしてください。」
「そうは言ってものぉ、この世界の街をそのまま向こうの世界に持っていけるわけもないしのぉ。」
自分としても、文化的な衣食住だけは譲れない。中世ヨーロッパ時代に行って生活しろなんて無理だ。
「それでしたら、こっちの世界で流通されている物を使える様にしていただきたい」
「うーん、そのようなスキルを作れん事もないか。スキルになるんで、いきなり全ての物を呼び出すのは無理になるのぉ。かなり制限もかかるが、それでも良いかのぉ?」
「制限というのは、どんな?」
「あくまでも、スキルとして物品を呼び出す力を得ることになるからのぉ。
まず、スキルというのはランクやレベルというのがある。そこまでは分かるか?」
「ゲームみたいにレベルが有るって事ですね?」
「そうじゃのぉ、今回作るスキルでは、R1-Lv1で、お前さんの国の通貨で100円までのアイテムを魔力で呼び出せるようにするか。いや、お前さんにこのスキルを与えるために身体強化や魔法の加護が使えんら、相応の魔石と交換となるかのぉ」
「私は、魔力がないのですか?」
「これだけのスキルを儂に作らせ獲るんじゃ、それくらい我慢せい」
「はあ」
「れで続きだが、1レベル上がるごとに100円分づつ呼び出せる物の値段が上がっていく。ここまでは良いな?」
「Lv2になると200円分の物が呼び出せると?」
「そうじゃ。そしてR1-Lv10で1000円の物まで呼び出せることになる。Lv10になるとランクを上げる事が出来るようになる。R2にするには、10000円分の魔石が必要になる」
「なんとなく分かります」
「それでR2になるとLv1で1000円の物まで、Lv2で2000円そしてLv10になると10000円までの品物が呼び出せるようになる。R3にするには10万円分の魔石が必要にと、ランクが上がるたびに必要な魔石が増えてくる。」
「ランクアップには、その都度魔石が必要になるって事ですね?」
「うむ、しかしその分必要な魔石の量も増えていくがな。あと、その都度魔石を投入するのではなく、呼び出せる金額の2倍までの魔石をプール出来るようにしておいた。細かい仕様は使いながら覚えるのじゃ」
「それで呼び出せる物は?」
「お前さんの願い通り、こちらで流通されておる物すべてじゃ。もちろん人や土地、動物などは無理じゃがな。どうせ諦めてる世界じゃ、武器や移動手段としての道具も呼び出せるようにしておいたぞ」
「武器や乗り物が呼び出せるのは嬉しいのですが、今 聞き捨てならない言葉があったような?」
「うむ、その世界は後5年で人類が滅亡するのじゃ」
「そんな世界に行けと言うんですか?」
「魔石を回収してくれれば、その分滅亡も遅らせる事も出来る。お前さんには、加護もあるしな」
「後5年で滅亡するんですよね?」
「それを防ぐために行ってもらうんじゃ」
「そんな無理難題を押し付けるなんて」
「それでじゃが、このスキルの使い方じゃが、お前さんのスマートフォンから操作出来るようにしておいたからのぉ。
欲しい物をスマホから探しだす事が出来る様になっとる。魔石のチャージは、魔石をスマホの画面に近づければチャージ出来るようにしておいた。分からんかったらスマホに仕様書が有るから見ておく様に」
「なんか、スルーされたし」
仕方が無いのでポケットに入っているスマホを取り出して見ると、そこには『万物召喚(地球世界)』というアプリが追加されていた。
「音声認識も可能じゃ。すごいじゃろ」
「はぁ。スキルをもらえるというからもっとこう、体の中にズバーンとかあるのかな、なんて思ってたんですが、意外と何もないもんですね」
「有るわけなかろう。お前さんの場合、物理でも魔法でもないスキルを授けたのだから。それにそれ、神器になるんじゃからのぉ。聖剣なんかと同じ扱いになるんじゃぞ。儂が与えた物だから最上位の神器になるんじゃぞ。」
「これが自分の生命線になると思えば、大事にはしますけどね」
「さて、そろそろ時間もせまってるし、向こうの世界に行ってもらえるということで良いかね?」
「虫に転生させられるよりはマシだと思うので、行かせていただきます。」
「それじゃ転移の準備を始めるぞ。このまま向こうに行ってすぐ死なれても困るので、お前さんの乗っている車ごと転移させてあげよう。後、多少のオマケを入れておいたぞ。うまく使いなさい」
「ありがとうございます。」
「向こうに着いたら、向こう専属の神から連絡があるかもしれんから、適当に聞いてくれると助かる」
「はい」
「では良き人生を」
お読みいただき、有り難うございました。