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とある狼さんと少女

作者: 皐月 鳴

全ての魔王と勇者の話の世界の始まりにはこんなことがあったという妄想です。

あるところにそれはそれは美しい黒色の毛を持った狼がおりました、しかしその美しい黒色の毛並みは彼の種族の中では忌み嫌われるものでありました。

生まれ落ちてすぐに群れから追い出された彼でありますが、その中で1つだけ彼に幸運がありました。

近くの村に住む少女、生まれ落ちて間もない彼に手を差し伸べたのはまさしくその少女であったのです。

彼は少女の愛を一身に受け、やがて冒頭で語られたようなとても美しい黒色の毛並みをもつ狼となったのです。

その幸運の中でも彼に1つ不幸がありました。

彼は少女に恋をしてしまったのです。

その種族の中で特別であった彼は幸か不幸かそれはそれは高い知能を持っておりました。

それ故に自分が少女と釣り合うことは一生ありえないと諦めておりました。


ある日、彼が少女と住んでいる村へ高名な魔法使いがやってきました。

全てを智ると言われる魔法使いはまさしく彼の言葉を読み取り、彼に1つ奇跡を与えました。


「あなたはとてつもない力を秘めている、あなたの意を知る事の出来る私にはあなたの望みがわかります、その望みを叶えて差し上げましょうか?」


彼は魔法使いへ1つ問いました。


「私の望みを叶えていただけるのはありがたいのですが、私はあなたへ差し上げられるものがございません。そんな私へなぜそのような事を?」


魔法使いはこう答えました。


「先程申し上げた通りあなたはとてつもない力を秘めております。私はそんなあなたの力を貸して欲しいのです。その対価として望みを1つ叶えようというものです。」


魔法使いの答えに納得した彼はこう、お願いをしました。


「私を人間へと変えてください、少女へ愛を告げる事と別れを告げる事を、自らの意思で伝えたいのです。」


魔法使いは彼の望みを叶え、そしてしばらくしてから彼を連れ立って色々な世界を旅しました。一面に広がる火の海であったり、不思議な歩ける雲の上であったりと、それはそれは大層なものでありました。


その後、魔法使いが亡くなった後も彼は世界を旅し続けました、しかし人々はあまりにも強大すぎる力を持った彼を恐れるようになっていきました。彼はまた仲間はずれにされてしまったのです。


そんな彼に付けられた名前が魔王でした。

1匹の狼さんは1人の魔王となったのです。


恐怖の対象である彼を人々は取り除こうとしました、しかし彼は愛した少女と同じ種族の人間を恨むことができませんでした。なので自分を殺そうとしてくる人々を殺さずに無力化して追い返すに留めていました。


そして運命の歯車は回り出します。


彼の元にとてつもない力を持つ人間が現れました。

その人間は少女と同じ髪と瞳をしており、彼は何故か懐かしい気持ちになりました。


そして彼はその人間に殺されました。

彼は最後に愛した少女(ひと)の名前をポツリと呟きました。

その名前を聞いた人間は驚き、そして母であるその少女の言葉を思い出しました。


その昔、自分はとても綺麗な狼を拾った事。その狼が黒色のとても美しい毛並みを持っていた事。ある日その狼が魔法使いによって人間にとても近い姿に変えられた事。その狼に愛を告げられ、愛し合い、その子供を身ごもった事。そしてその子供こそが人間である事。


彼が殺されたその場には黒色のとても美しい毛並みを持った狼の亡骸が転がっているだけであった。




これはとある狼さんと少女のお話、しかしそれと同時に全ての始まりである魔王と勇者のお話であり、悲しき真実を知るものは誰もいない。

神や全ての世界の始まりに通じるものであり、そして誰も知らない物語である。

なろう初投稿の為、テストを含めた処女作になります。

あくまでこの物語はここで終わりであり、魔王が全てこの様な悲しくも優しいものではありません、後世に出てくる魔王で非道なものも勿論いますし、この狼さんの様に人間が大好きだったものもあると思います。


しばらく間は空きますが、次はきちんとしたものを投稿予定です。いつになるかは分かりませんが、次会える事を期待して。


さよならです!

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