表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

エーッ?!という出来事

1枚の手巻き海苔の正体とは?!

作者: れんれん


その日は、夜遅く家に帰って、すぐに台所に行った。(ああ、喉が渇いたぁ)と呟きながら、椅子に座り、冷蔵庫の冷たいお茶を飲んでほっと一息。


ふと見ると、手巻き海苔が一枚、冷蔵庫の前に落ちてる。(あれ、今、冷蔵庫の扉を開けた時に、落ちたのかなあ? 袋に入れてたのに?)と、拾おうとかがんだ。

ピクピクと、海苔が動いた気がした。


まさかなぁ?と、もっと顔を近付けてみたら、海苔の真ん中の辺りがピンクっぽく、そこが、間違いなくピクピク動いてる。


何か信じられず、さらに顔を近付けた。

海苔なんかじゃない! 間近で見た事はなかったが、コウモリだ!


一瞬、声が出なかった。

何とか、息は、吸い込めたが、吐けなかった。


コウモリを、棒立ちで見続けてる内に、(今、どうしたらいいのか?)と、冷静な疑問が沸いた。


まずは、家から放り出さないといけない、と思い、コウモリからは目を離さず、バケツとホウキを、静かに、静かに用意した。


速さのカケラも、持ち合わせてないのに、

怖いもの知らずのように、コウモリを、

バケツに掃き入れようとした。


その瞬間だった!


バケツとホウキの間から、コウモリが、飛び出し、私の前を低空で通り過ぎた。

手巻き海苔の大きさだったはずが、その真っ黒な体は、30センチ以上あったろうか?


ギョエーツ、 ヒョエーッ

私は今まで生きてきた中で、発した事の無い声で、叫んでいた。


ガラガラ キキー ガタガタ

近所の家の雨戸が、あちこちで開き続けた。


コウモリは、食器棚の奥の、また奥に入ったのか、探せなくなった。


兄弟に電話連絡してみた。

こんな遅い時間から、遠方から家に来てもらう事も叶わなかった。


〔明日にしたら。夜も遅いし。もう、ビール飲んで運転できんから行かれへんわ〕と言われた。とはいえ、怖くて寝られない。


気を取り直し、お風呂にお湯を入れよう、

と半開きだったお風呂の扉を、全開に開けた。


足をタイルに下ろそうとしたら、そこには、そこには、そう! コウモリがいた。


もう、さっきのような声も出ず。

(何も見なかった、見なかった)とタイルから足を引っ込めた。


早く早く、家から放り出さないと寝られない。


ここからが、ほんとうの戦い。


さっきのバケツと、お鍋の蓋を用意。


まず、コウモリに、おそるおそる、自分の中では一番の速さで、バケツをかぶせた。


一度、息を整えた。


次は、下向けになってるバケツを少し持ち上げた瞬間、また一番の速さで、お鍋の蓋を差し入れた。


さらに、バケツからお鍋の蓋が絶対にずれないように手で押さえながら、ゆっくりと、

バケツを上向きにし、上からお鍋の蓋を押さえ続けた。


さらに、息を整えた。


バタバタ、 カシカシ、 バチバチ

コウモリが暴れている。

その存在を確認できたので、変な安心感。


バケツとお鍋の蓋を、手で上下にしっかりと押さえ、玄関に出た。


バケツとお鍋の蓋を、おもいっきり、遠くに

玄関から外に放り出した。

玄関の扉を閉めて、顔だけ入る扉のすき間から外を見た。


街灯の灯りの中、すごい勢いで、真っ黒な体が、真っ黒な空に飛んでいった。


勝ち負けのない、戦いは終わった。


また、台所の椅子に座って、喉が渇いたので、お茶を飲んだ。


スーツ、ハアーツ、とやっと深呼吸できた。


珍客 コウモリは、どこから入り込んだのか? いまだに不思議?!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ