8・いいセンスだ、ならぬ、いいお尻だ
獣人。
人ばなれた力と、ケモ耳を持つ。
そんなイメージだ。
ケモ耳をもふもふしたい!!
部屋で自己紹介等を済ませた俺達は、フェリスに連れられ町はずれの遺跡に来ていた。
古びた遺跡には、何やら古代文字らしい文が彫られていた。
古代文字について聞いたが、二人は知らないらしい。
遺跡を抜けると洞窟がある。
広さは、人が10以上入れるくらいだ。
なぜこんな場所まできたのか疑問しかないが、着いたら説明すると言われたので気にしなかった。
「王について、二人は何を知っていますか?」
洞窟に着いて、最初に発した言葉がそれか……って言っても俺は何にも知らないしな。
「王が世界を滅ぼしたくらいか?」
「不死って聞いたわ」
俺達が答えると、フェリスはポーチからクリスタルのような物を取り出した。
「世界を滅ぼした、不死、二人とも正解です。正確には……この大陸を滅ぼしたのです」
この大陸?
この世界にはここ以外にもあるのか?
「何か意味ありげな言い方だな」
「すみません、この話はまたの機会に話します……これを見て下さい」
またの機会か……気にはなるが、まあいいか。
フェリスがクリスタルを掲げる。
「導くのです!」
フェリスが叫ぶと、クリスタルが輝き、壁を照らした。
壁には何かの映像が映し出され、映像の中で、巨大すぎる何かと、ドラゴンやら、悪魔のような化け物が宮殿やら、町やらを破壊している。
音はないが、映像だけでも凄まじい迫力があり、ハリウッドのファンタジー映画のようにも思える。
映像は3分くらいで終わった。
「これが、滅ぼされた時の映像です」
「おいおい、あの化け物どもはなんだ?」
「王の手先達ですね」
「肝心の王はどれだ?」
「王は出陣していません、手先達だけで滅ぼされました……わずか七日で……」
七日って……無理だろ。そんな連中に立ち向かおうなんて……何回もやり直しても無理だ。
しかし、アズはどうした? さっきから黙ってばかりで……
「ドスドベア……なぜ……あたしにまで見せたのよ!」
「すみません、ベレジェンガは見ていましたよね……その目で」
見ていた……まさかっ!? あの現場にいたのか?
「うるさいわね……」
機嫌をそこねたのか、洞窟から出て行くアズ。
「おい!! アズ」
「一人にさせて!」
追いかけようとしたが、拒絶された。
「ベレジェンガには少々悪い事をしてしまいました。あとで謝っておきましょう」
フェリスは、反省しているのか、少しばかり落ち込んでいた。
「それで……俺達をここに連れてきた目的を話してもらおう」
フェリスはローブを脱いだ。
ローブのしたは下着。上下真っ白。
小ぶりな胸、か細いウエスト、モデルのような足。
印象は細いだった。
がりがり程ではないが、それでも細い。
アズと比べたら細すぎるまである。
てか、何で脱いだの……まさか、今から子作りでもしようって言うんじゃあるまいな。
大歓迎だけど、初めてが野外はちょっとね。
「おい、何の真似だ?」
「これを見て下さい」
フェリスは後ろを向く、そこには刺青が彫られていて、この世界の言葉だろうか?
文字が背中一面にびっしりだ。
しかし、俺が気になったのはそこではない。
ケツだ。
いい尻をしている。
身体は細いのに、尻は普通くらいか?
アズのデカ尻にく比べたら貧相に見えるが、形は良く、張りもあり、揉みごたえも良い。
尻ランクAA+だな。
ちなみに、アズはSランク。
「これは……すごいな」
「はい……わかりましたか?」
「あぁ、触った時からいい尻だと思っていだがここまでとは思わなかった」
「えっ……キャー!! 止めて下さい、見ないで下さい、いくら救世主様でも怒りますよ! 私が言っているのは背中の事についてです」
赤面し、慌ててローブを着たフェリスは怒り口調で言う。
でも、怒った顔も可愛いぜ!
「あぁ、そっちか」
「ちょっと反応、薄くありませんか?」
目を大きく開き、戸惑っている様子。
「いやー、だってな、こんないい尻があればそっちの事しか見えなくてな」
「もうお尻の話題は止めて下さい!!」
いやー面白いな。
フェリスはからかいがいがある。
アズにはできないからな、こんな事、てか殺されるまである。
ザンっ!!
スパッと頬が切れ血が流れた。
「いてっ!?」
高速で何かが飛んできて頬を切り裂いたらしい。
「救世主様!? 大丈夫ですか?」
カツカツカツと、足音が響き、真っ赤なドレスの美少女が姿を見せた。
その美少女からは、どす黒いオーラが漂っており、まるで破壊神のようだ。
わなわなと白銀の髪が揺れ動いている。
「あたしがいない間に、ずいぶんいろいろあったみたいね。外まで叫び声が響いてたわ」
アズはケツデカステッキを構え、俺に向けた。
「ちょっと待て! 誤解だ! なぁ、フェリスからも説明してくれよ」
フェリスも慌てていてる様子。
「えっと、そうです。誤解です。救世主様がお尻について何も言っていません!」
ちょっとーー!? その言い方だとあらぬ誤解を生むからね!!
俺の生命に関わる事だからね!
「ふーん、やっぱり……死になさい!」
ケツデカステッキから、謎の光線が連発される。
それを避けながら逃げた。
3時間に及ぶ逃亡と5時間に及ぶ謝罪&誤解を解く。
結果……ビンタ500発で許してもらえた。
美少女のビンタはご褒美と言うけど、500発は拷問に近かった。