4・やはりツンデレは最高に可愛い
「泉よ、泉よ、泉さん。俺が落としたのは金の棒です」
なんてな、これで泉の精が現れたら笑う。
あれから、美少女を仲間に引き込む方法をいろいろ試したが失敗。
特に酷かったのが、自身の局部を見せた瞬間に、局部に杭が刺さり悶絶しながら、死にゆく。
あぁ恐ろしい。
思い出しただけで股間が縮む。
とは言え、このまま泉から進まないのもなぁ……どうする?
女の子の落とし方って、定番なのはピンチを助ける。とかだけど……敵同士だからなぁ。
それなら拷問って手段もあるけど……やっぱり愛されたいしな、ってこれじゃ童貞の思考じゃねぇか!?
でもでも、愛あってこそ、盛り上がるはず。
朝起きたら咥えられたり……見せられないよ!
やばいやばい、酷い妄想に浸ってしまった。
あっ!?
そう言えば、昔見た、女心をくすぐる行動の一つ。
押してダメなら引いてみろ!!
いよいよ、これを実行する時がきたな。
◇◇◇
ゾンビの皮を被り、ゾンビの内臓袋を腰に付け、例の場所まで移動した。
あと数歩進むと美少女が現れる。
一歩一歩、踏みしめるように歩む。
草陰が動きドクロマスクに黒ローブを羽織った美少女が現れた。
早く、あの尻に顔を埋めたい!!
ダメだ、今は我慢だ!!
「うおおおおおおおおおおおおおおお」
叫び声をあげ、美少女の持つ杭を奪い、投げ捨てた。
そして、美少女の髪を掴み引きずりまわる。
「きゃああああ!? 痛い!! 止めっ!!」
美少女は何度も叫ぶが、止まらない。
まだ、引きが足りない!
もっと、もっと!
さらに引きずる。
数秒ほど引きずり回すと、すすり泣き声が聞こえ美少女を見ると、身体中が擦り傷だらけだ。
なに!?
「大丈夫か!? 誰にやられた!」
心配し声をかけたが泣き止まない。
「なによぉ……なんなのよ、痛いし、止めてって言っても止めないし、こんな風にされるなら死んだがましよ!」
若干切れ気味で答えた美少女は……どうやら病んでいるらしい。
なるほどな。こいつはメンヘラだな。
さては、俺が引いたから嫌われたと思って、自暴自棄になっているはずだ。
ふはは!!
安心しろ!
これも策略の一つ!
飴と鞭だな。
「大丈夫だ! 俺はお前の事を嫌ってなどいない! だから安心してハーレムメンバーに加わるがいい」
自信満々で言った。
「はっ!? 何言ってるの? あんたゾンビの分際で吸血鬼であるあたしに……ハーレム? ふざけるな!! ここまでコケにされたのは初めてだわ! もういい! 殺してやる!」
美少女の背中から翼が生え飛び上がる。
えーーーー!?
って今なんて言った?
吸血鬼?
ナイトメアには吸血鬼なんていないぞ!
あっ、そっか異世界だった。
てか、俺の姿ゾンビだったぜ。皮被ったのが失敗だった。
「すまない! 俺はゾンビじゃないんだ! 人間だ! ほら、この通り!」
ゾンビの皮を脱ぎ捨て本性を見せた。
「きゃあああああ!?」
あれ?
悲鳴?
なぜ……美少女の視線は下腹部に向いていたので、下を向くと。
あれま、おっきしていた。
美少女を引いていた時に、この後起きるであろう、えろえろな展開の妄想で膨張してしまったらしい。
「少し待ってくれ」
◇◇◇
「なるほどね、あんたは別世界からきた人間なんだ」
股間が収まってから、美少女と対談中。
「あぁ、目を覚ましたら泉に居た」
「そう言われれば納得かも! 今まで殺した人間でゾンビの皮を被る奴なんて見たことないもん」
何かに納得したような美少女は警戒を解いたのか羽をしまった。
「それでさっきの件だが」
「さっきって?」
「焦らすなよ、ハーレムだよハーレム」
もの凄いゴミを見る視線に変わった美少女。
「はっ!? バカじゃん。この高貴たる吸血鬼が人間の眷属なんかになるわけないじゃない!」
「そ、そんなぁ」
クソっ!
この世はクソゲーだ!
なんだよ!
異世界ハーレムは確定じゃないのかよ!
膝を着き、男泣きした。
「ちょ、ちょっと泣かないでよ。気持ち悪いわね。あたしが悪かったは、謝るから……ね。だから泣き止んで!」
「じゃあ、ハーレムになってくれる」
「それは無理!!」
再び泣く。
「ちょっと、いい加減泣き止みなさいよ。まだ終わってないから、あぁもう。だから協力してやるって言ってんのよ」
「協力? 誰の?」
「あんたの協力! あたしも王のやり方は、気に入らないのよ。でも、勘違いしないでよね! これは利害の一致なだけだからね」
やばい涙が止まらねぇ!!
だってよ……だってよ……勘違いしないでよね、何て典型的なツンデレじゃねぇか!
リアルで初めて聞いた。
感動だ。
このまま死んでもいいくらい。
意識が遠のき気を失う。
目を覚ますと……泉じゃない。
炎の場所だ。
ちゃっぷちゃっぷっと、水の音がして辺りを見ると、何と言う事でしょう!
そこには水浴びをしている美少女がいるではありませんか。
しかも、脱いだパンティ湖のほとりに置いてある。
これは、俺の本能が言っている。
嗅げば殺されると……しかしだな。
男には死んでもやらなきゃいけない事があるんだ!!
パンティにダイブした瞬間、美少女の叫び声と共に、石が飛んできて、頭蓋骨を貫き死亡。
目を覚ますと炎の場所。
おぉ、次のセーブポイント的な場所がここに変わったのか。
まてよ……それなら、まさか!?
辺りを見回すと水浴びをしている美少女。
また、パンティに飛び込もうとしたが失敗に終わる。
◇◇◇
100以上挑戦したがダメだった。
水浴びが終わり、着替えも終わって、眠っている俺に話しかけるのを待っている。
遅いな。
しゅるしゅると、下着を履く音だけが聞こえてきたが耐えた。
「いい加減起きなさい!!」
やっと声をかけてきたか。
「ああ、起きた」
「ところで、あんた名前は?」
そう言えば、名乗ってなかったな。
てか、服が変わっているな、ヴァンパイアに似合う、赤のドレスだ。
「霧島和也だ」
「霧島……なるほどね。あたしは高貴なる血族、アズ・ベレジェンガよ! アズでいいわ」
アズかぁ、あんまり、ツンデレっぽくないな。
「わかったアズ! よろしくな」
握手しようと思い手を伸ばすと、思わぬ事に、スカートの中に手が入ってしまった。
しまった、わざとじゃない!
これは事故だ。
言い訳をする暇もなく、アズの爪が鋭く尖り、首が飛んだ。