1-1 好き好き大好き、何万回言ったって足りないくらい
「透君!」
久しぶりに見つけたその姿に、嬉しくなって駆け寄った。
「今日はお休み? どこ行くの?」
腕をつかみ、ぎゅっと体を寄せて透君の顔をのぞき込む。
「今日は休み。どこにも行かないけど、とりあえずコンビニ」
私を見るなり疲れた顔をするけど、それでも答えてくれる透君が私は大好きだ。
「私も行く!」
せっかく会えたのに離れたくなくて慌てて声を張り上げると、透君は呆れたようにため息をついた。
「おまえこそ、どっか行くところだったんだろ?」
「うん、図書館にね。弟がうるさくて受験勉強とかできないし」
「じゃあ、そっちいけ」
「うん、透君とコンビニ行ってからね!」
捕まえてた腕に身を寄せるだけじゃ不安で、しがみつく。
絶対離れるもんかって意気込みが伝わったのだろう。やっぱり透君はため息をついて、でも、こう言うんだ。
「じゃあ、その後図書館まで連れてってやるから。俺にくっついてないで勉強しろよ」
「うん! 透君好き! だいすき!」
透君の腕を更にぎゅうっと力を込めて抱きしめる。
良かった、もうちょっと一緒にいられる。
嬉しくて、幸せでたまらない。
見上げて笑いかけると、透君も諦めたように笑って、空いた手でぽんぽんと頭を撫でてくる。
透君が好き。好き。大好き。何万回言ったって足りないくらい。
呆れてるって分かってるけど、面倒な近所の子って思われてるの分かってるけど、でも、透君が許してくれる限り、こうしていたい。