第8話 3の月5日(3) 仕入
第8話 3の月5日(3) 仕入
ライト念願の行商人が来たというので、アイに店番を頼み、ゴートと共に行商人の下に向かう。
「ゴートさん お久しぶりです」
20歳位の物腰の柔らかな青年リンが行商人のリーダーで、顔見知りであるゴートに親しげに話す。
ゴート曰く、行商人は商人ギルドの中でも比較的若い奴が多く、また道中護衛が付くとはいえ危険な事も多いので、腕に覚えにある者が多いという。
「リン こいつがこの前話したライトだ」
そう言うとライトに挨拶を促す。
挨拶も終わると行商人のリンはライトの相手を他の行商人に任せ、ゴートから話があるから言われゴートの店に入っていった。
「今回から商人となられたそうで おめでとうございます」
広げられた商品を見ていると、行商人から声を掛けられ、あわてて挨拶する。
「そうなんです 未熟者ですのでお手柔らかにお願いします」
「商品の説明などわからない事がありましたらなんなりとお尋ねください では」
そう言葉を交わすとライトは早速『鑑定』の能力を使いながら商品を眺める。
ポーションを見ると、左から
可 良 可 可 優 ・・・可
と並んでいた。
(さすがに不可はなしか、じゃあ)
可と優のポーションを手に取り値段を聞いてみると行商人は不思議そうな顔をしながら同じですと答えた。
(となると商品の優劣を鑑定する技術は確立されていないんだな)
商品の優劣が鑑定できるなら同じ商品でも価格が変わるはずである。
続けてライトは行商人に聞く。
「行商人の皆さんは例えばポーションなんかはどうやって仕入れるのですか?」
すると行商人は丁寧に説明してくれた。
一般的な商品の場合、大きい町の商人ギルドには冒険者や町人から素材などを買取る場所があるので、そこで素材を確保する。
そして調合の出来る人を一定期間雇い、商品を作ってもらうのである。
また地方特有の特産品なんかはその土地で仕入れ、別の地方で売ることで付加価値を付け利ざやを稼ぐとのことである。
(じゃあさっきのポーションの優劣は 素材の良し悪し と雇った人の能力『調合』によるってことだな)
いまはゴートから道具屋を任せてもらっているので、薬品類からなるべく『優』の商品だけを選び出し行商人に渡す。
「ポーションを50個、解毒剤・解麻痺剤・目薬を各30個、で1,920Gになりますが端数切捨てで1,900Gでどうです?」
「少しまけてくださいよ 開業祝にお願い!」
「困りましたね」
そう言うと行商人は手元にあった器具を取り出す。
器具は初期調合セットといい、簡単な薬品類の調合はこれで事足るという。
「せっかく道具屋を始めたんです 完成品を仕入れるのもいいのですが、自身で素材を集め調合すれば手間の分儲かりますよ」
「そうですね」
「ですから開店祝いにこの器具も付けて2,300Gでどうです?」
にやにやしながら、ライトは言う。
「なるほど・・・で この器具単品の価格はいくら」
「参りました 400Gです・・・全部で2,200でどうでしょう?」
「じゃあこれで」
したり顔で銀貨22枚で清算する。
「ではライトさん 取引税の22Gもお願いします」
そう行商人に言われ、先ほどのゴートとの話をすっかり忘れていたことに気づき、銅貨22枚を支払う。
「ライトさんには負けました これもお持ちください 簡単な薬品のレシピが載っております」
「今度はいつ来るんですか?」
「次回はリンさんが率いる一団ではありませんが、二十日後位でしょうか? ではまた」
(次回は25日以降か 今日の仕入れ分だけじゃ心許ないな レシピも貰ったし やるか『調合』)
もちろん器具も『鑑定』して『優』に交換してもらったのは言うまでもない。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
『アイテム:初期調合セット』・・・調合道具 調合レシピ入門編付き
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