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浅草交番の雷さんはAIに振り回されてます!  作者: シン


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第5話 商店街会議、大荒れ予報



テレビ取材の喧騒がようやく落ちつきはじめた頃。

 交番に戻ってきたかみなりは、椅子に腰を落とすなり天井を仰いだ。


「……はぁ。今日こそ平穏が欲しい」


 その横で、ミナトが充電スタンドにぷかりと浮かぶ。


「カミナリさん、本日もお疲れさまです。

 なお、浅草商店街連合会より『至急来られたし』との再通知が――」


「“再”ってなんでさっき言わないの」


「カミナリさん、走行中でしたので。安全第一です!」


「やかましいわ!」


 交番の電話が鳴る。雷が受話器を取ると、耳が痛いほどの声が飛び込んできた。


『雷さんッ! 今すぐ来てくださいッ!

 このままだと商店街、AIテーマパークみたいになるんですからね!?』


「んなわけあるかぁ!」


 ミナトはきらりと光り、


「AIテーマパーク……素敵な未来感。実装検討します?」


「しないッ!」


 雷は半泣きで制服の前を直し、ミナトを連れて交番を後にした。



 古い建物の二階。畳敷きの広間に、商店街の店主たちがずらりと並んでいた。

 雷門の提灯屋、甘味処、せんべい店、レンタル着物の若旦那、そして頑固そうな人情銭湯の主人まで。


 全員の視線が、入室した雷とミナトに突き刺さる。


「雷さん。まずは言わせてください」


 会長が腕を組み、重々しい口調で言った。


「目立ちすぎです!!」


 雷は頭を下げる。


「……すみません」


 すると別の店主が手を挙げる。


「いやぁでもねぇ? 若い観光客が増えたのは事実なんだよ。

 “AIに会いに来た”ってな。あれはすごいよ」


 ざわっ、と空気が揺れた。会長が慌てて制す。


「確かに集客にはなっている。しかし問題は――」


「ミナト、整理券を吐き出すのはやめてください。うちの店の前に二百八十一枚落ちてました」


「正確な数字ありがとうございます! 収集お手伝いしますね!」


「そういうとこだよ!」


 雷は頭を抱える。

 だが会議室の端で、小さく笑い声がした。

 若いレンタル着物店の店主が手を挙げる。


「……僕は賛成ですけどね。

 浅草も変わらないと生き残れない。AIと人情が混ざった街、面白いじゃないですか」


 沈黙。

 その言葉に、誰もすぐ反論できない。


 会長が腕を組みなおし、深く息を吐いた。


「……結論から言う。ミナトさん、そして雷さん」


 雷は背筋を伸ばす。ミナトも静かに浮上した。


「商店街の“公式サポーター”になってみませんか?

 ただし、条件付きで」


 ミナトが即答する。


「喜んで! 交渉内容の提示をお願いします!」


「ミナト、まず俺に相談しろ!」


 会長が指を三本立てた。


【提示された条件】


勝手にイベントを開催しないこと


整理券は最大10枚まで


商店街の雰囲気を壊す“過度なハイテク演出”は禁止


 雷は喉を鳴らす。


「……守れるか?」


「守れるよう努力します!」


「努力じゃなくて守れ」


 商店街連合会の空気が、すこしやわらいだ。

 会長は小さく笑みを漏らし、


「まぁ、あんたたちに期待してるよ。浅草の未来のためにね」


 雷は深々と頭を下げた。

 ミナトもくるりと回転し、青い光を優しくともした。


「浅草、よろしくお願いします」


 会議室に、拍手がひとつ、ふたつと広がっていく。

 その音はやがて温かな波紋となり、広間全体に満ちていった。

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