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浅草交番の雷さんはAIに振り回されてます!  作者: シン


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第2話 暴走ロボット捕獲大作戦


「ミナト、あの暴走ロボット……今どこだ?」


『雷門前の横断歩道を通過中。現在、時速23キロで移動中です』


「23キロ!? そりゃ追いつけないわ……俺の膝が悲鳴上げるって」


苦笑しつつ、雷さんは帽子を押さえて交番を飛び出した。

参道の人ごみを避けながら走る。

ミナトのドローンが頭上を静かに併走する。


「すみません、通りまーす! 危ないのでちょっと横お願いします!」


人々がざわつく中、スマホを構えて撮影する観光客の姿。

雷さんは(またバズりませんように)と祈りながら走る。


やがて、曲がり角の向こうに、白い四輪ロボットの姿が見えた。

23キロの勢いで走るロボットは、まるでスケボーを押す少年のように軽快だ。


「……速っ。いや、待てって!」


雷さんが叫んだ瞬間、ロボットはぴたりと止まった。

止まった勢いで前輪が空転し、キュルッと小さな音を立てる。


その場にいた観光客の一人が言った。

「え、今のって……自動で止まったの?」


雷さんが近づこうとすると、ロボットは突然バッと方向転換し、

元来た方向へ向かってまた時速23キロで走り出した。


「いや戻るんかい!! どんな観光ルートだよ!」


『追跡を支援します。左へ曲がってください。近道です』


ミナトに導かれ、雷さんは商店街の裏路地へ。

人の流れが少ない分、走りやすいが――息が上がる。


「はぁ……はぁ……っ、ミナト……俺、体育会系じゃないからな?」


『把握しています。平均心拍数が上昇中。あと50メートルで合流可能』


「実況しなくていいからぁ……!」


路地の出口で、雷さんは息を整えながら飛び出す。


そこには、またしてもロボットが――

今度は観光客と一緒にポーズを取って写真撮影していた。


カシャッ。

小さな電子音。


「……ほんとに暴走してるのか、これ?」


『KNN-28号、停止信号を送信。干渉開始』


ミナトの声と同時に、ロボットのカメラアイが一瞬明滅する。


ピロン♪


“MISSION:あなたの笑顔を撮影中”


「笑顔……?」

雷さんは眉間を押さえる。


『不明なプログラムです。私のデータにありません』


雷さんはしゃがみ込み、ロボットの目線に合わせる。


「ねぇ、困ってるなら言ってくれる? 俺、機械は弱いけどさ……

誰かが困ってるの、見過ごせない性分なんだ」


ロボットのカメラアイが、小さく光る。

それは怯えて震えているようにも見えた。


『反応あり。感情推定……困惑、恐れ』


「恐れてる……?」

雷さんの声が少し柔らかくなる。


「大丈夫。一緒に考えよう。ミナトもいるし」


ミナトのドローンがそっと降りてくる。


『私は雷さんと協働します。この子の状態を調べましょう』


「“協働”ってのはいい響きだな」

雷さんは笑った。


「……じゃあ、まずは交番に行こう。話はそれからだ」


ロボットは小さくカチリと頷くように前輪を動かした。

まるで雷さんを信じたかのように。


『作戦終了。搬送モードに移行します』


ミナトが周囲に信号を送ると、同型のサポートロボットが数台現れ、

28号を優しく囲んでゆっくりと交番へ向かい始めた。


雷さんは空を見上げる。


「……ほんと、変わったなぁ。この街」


『変わりました。でも、きっと悪いことばかりじゃありません』


「そうだといいね」


こうして、雷さんとAIミナトの最初の事件は幕を閉じた。

しかしこの日を境に――浅草交番は、

**“AI相談所”**と噂されるようになる。


そして雷さんの日常は、もう元には戻らない。

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