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三ツ山大学オカルト研究会   作者: 黒川 右京
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ツツノシン その4

「はじめまして、四分谷、璃子だっけ? 璃子ちゃんでいいね。それとお前、そこの冴えない童貞臭い男、枯木田君だっけ?」


「柳田だ。ガキンチョ」


 ツツノシンと名乗る少年の悪態に僕は大人気なく噛み付いた。何だこの生意気なガキは。こいつとは仲良くできそうにないな。童貞舐めんなよ。お前も童貞だろうが。


「柳田先輩、口を慎んで」


「待て待て、四分谷。確かに僕たちはこのツツノシンに相談、頼みごとが会ってここまで来た。だけど、それは何も媚びへつらいに、靴を舐めに来たわけじゃあないんだ。ましてこんな口のきき方もなっていないような子供に舐められる筋合いはない。ツツノシン。お前だって何か理由があって僕たち、というか四分谷と会いたかったんだろ? 何が目的だ。パンツか? おっぱいか?」


「柳田先輩、飲み物を顔にかけられたことはありますか?」


 四分谷はいつものジト目とは違う、本物の殺気を放った鋭い目で僕を睨んでいた。まずい、つい口が滑ってしまった。だが、まあいい。ツツノシン、お前のような性欲猿の中坊がいくら頼んだ所で四分谷の貞操を奪うことはできんぞ。


「おい、犬みたいにうるせーな。お前、何か勘違いしてるみたいだけど、俺は女だからな」


「な、なに……!」


 まさか、この猿が女だと!? ちょっと待て、これはアニメとかでよくあるパターンじゃないか。男と思って連れ回していたら、うっかり胸に手が当たり、「えっ」てな感じで「お、女ァ!?」みたいになって「今までなんだと思ってたんだ!」ビシィ!(ビンタの音) みたいなラッキースケベの王道パターンじゃないのか。こういう役はもっとボーイッシュで、帽子を深く被っていて、それを脱いだ瞬間、美少女が降臨されるのが世の常のはずだ。

 それがどうだ。このツツノシン。田舎の虫取り少年みたいな格好だし、髪も短すぎる。蟹みたいに寝癖がツンと立っている。胸なんか真っ平らの二次元ボディじゃないか。顔も不遜さが全面に出ていて可愛げがない。言葉遣いもなってない。そこはボクだろう。俺は違う。ボクっ娘じゃないと。


「キャンキャンと、チワワかよ。お前がそういう態度なら、この話はなしにしてもいいんだぜ~」


「なんだと、一人猿蟹合戦みたいな顔しやがって……」

 

「やめて頂戴、柳田先輩。ツツノシンも。彼の無礼は私からも謝らせてもらうわ。だけど……」


 そうだ、四分谷。僕たちは大人なんだ。子供の間違いを正してやることこそが大人の役目なのだ。


「柳田先輩を犬に例えるのは私の特権よ」


 何を言っているんだ四分谷さん。そんな権利は与えた覚えがありません。


「なんだそれ。おもしれーこと言うじゃん。よし、璃子ちゃんに免じて今回は許してやろう、枯木田くん」


 こいつら、最悪の組み合わせかもしれない……。









「それで、なんの用事だっけ? ああ、都市伝説を広めてほしいんだっけ? 案件ってやつか? いくら出すんだ、金」


「ちょ、ちょっと待て、金を出すなんていいてないぞ?!」


「冗談だよ、枯木田君。そう熱くなるな。君たちはあれだ。このオカルト界のスーパーインフルエンサーであるツツノシン様に対して、手ぶらで頼み事を聞いてほしいというわけだな。しがない大学生風情が、このスーパーインフルエンサーであるツツノシン様に、タダで頼み事! しかも、男と間違えたうえに猿だの蟹だの好き放題言って謝りもしない。全く、ひどい大人たちだよ! 日本の未来は真っ暗だ。だけどね、ツツノシン様は優しい。慈悲深いんだ。そう、君達、いや、何度も言わせてもらうが枯木田はいらないんだけど。璃子ちゃんにお願いがあるんだ。交換条件だ。枯木田の作る都市伝説がどんなに陳腐でつまらないものでもある程度は流行らせてみせようその替わりに……」


 ツツノシンの要求は、僕はすぐに理解をすることができなかった。頼んだアイスコーヒーを飲もうとしたが、そこには溶けた氷がわずかにあるだけだった。


「璃子ちゃん、君の顔をちょうだい」

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