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と、言うわけで俺はこの素晴らしさを存分に発揮せんがため「全国古戦場巡り」を企画することにした。
親父の肩についてた怨霊をムシャムシャしてから、能力の検証に一ヶ月程を費やした今日のことである。
今現在の年齢は数えで3歳と2ヶ月、満年齢で言うならまだ2歳だ。
俺は旅をする旨を親父に説明した。
「えー、まだ、独り立ちには早く無いか?ヤダヤダ、パパは反対だぞっ!」
「いやでも親父。説明した通り俺の異能の強化効率は低いから、少しでも早く始めた方がいいんだ」
「ロディ!プライベートではパパって呼んでっていうとるだろうがっ!!」
「いや今そういうのいいんで」
ちなみに俺に名前はロディことロドリゲスであることを捕捉しておく。
引き取った親父が「強そうな名前」という理由でこの名をつけたと言う。いや、全国のロドリゲスさんに失礼なのであまり変なことはいえないが、もうちょっと違う名前が良かったなぁ。
「ふむ、確かに常時異形を発動さえしていればお前は子供に見えないからなぁ、性格は俺よりも大人びてるし。まぁ、いけると言えばいけるか……」
親父の言う通り、俺は異形を発動していれば子供に見えない。
というのも、俺のスケルトン形態は成人男性程度の上背があるのだ。
普通、異形形態は人間形態での年齢に同期して発現する。
要するに大虎の異形を持つ人間が子供であった場合、その異形は仔虎として発現するということだ。
そして、先もいったが10歳未満は大抵の場合、異形を上手く維持できない。
それらの事情から、成人男性の上背を持ち長時間異形を維持できる俺は、異形を発動している限り子供に見えないのだ。
つまり、異形を使えば旅をしても問題ないと言うことだ。
実際、常時異形を発動して暮らす人間は少数派ではあるものの存在する。
デカイ図体であったり、燃えている肉体であったり、エネルギー消耗の激しい肉体であれば、そういう生活はできないが、俺のようなただの骸骨であれば常時異形生活も可能なのだ。
エネルギー消費も、変身時に少し消耗するだけで維持にはほぼかからない。
「お前なら解っているとは思うが、共は誰もつけられんぞ?それでも行くのか、ひとりで」
俺には後ろ盾がない。
そして親父が公に俺を助けるわけにはいかない。そんなことをすれば、直ぐにでも俺に暗殺者が向けられることだろう。
だが、誰の庇護化でもないからこそ俺は自由に行動できるのだ。
「うん、必要なんだ。俺が王になるにはね」
そんな俺を見据えて、親父は獰猛に微笑む。
「可愛い子には旅をさせよか。ならば気をつけて行ってこい、我が息子よ」
だから俺も、親父に笑ってみせたのだった。
※懐かしい下り
1000pv達成しました、ありがとうございますw
第1話終了です。これからも頑張りますぅ。