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7-9

ライ麦の眷属化は丁寧に行った。

そのおかげで、かなり良いものができたと思う。


寒冷地と悪環境に強いライ麦の特性を強化しつつ、味も、収穫量も飛躍的に向上させた。

加えて、栽培期間がとても短く、たった三ヶ月ほどで収穫できる。


一方で、その代償にとんでもなく厄介な特性を得ていた。


このライ麦、何故か毎日電撃を浴びせなきゃならない。水の代わりに。

つまり日々の水撒きならぬ、日々の雷落としをせねばならぬのだ。危ねぇ。


いや。あの、眷属化作業中に俺が「名前は雷麦とかだったらかっこいいな」とか、余計なこと考えちゃったから……


うむ。


まぁ、いいか。


「……この東屋でいいか」


俺は今いる東屋に、魔術式を刻印し、魔術機構を付与していく。

この東屋そのものを、魔導装置に改変するのだ。


付与するのは、人柱を用いて行う雨乞いの邪法を大胆に応用した魔法だ。

この魔法は、一度発動すればたちまち麦畑上に暗雲が立ち込め、いくつもの雷を浴びせ落とす。


対価として、一体の魔物の死骸(なんでもいい)と常人の魔力にしておよそ百人分が必要だが、魔力の方に関しては貯蔵できるため、農民の働き手が全員で少しづつ負担すればそれほどではない。

発動も毎日必要ではなく、この雷麦に対して三日に一回ほど食らわせてやれば栄養には十分だろう。


「よし、これで農作物は現状こんなもんだろう」


「お疲れ様でございます」


今後は民にこの広大な農地を管理させる。これで雇用も創出できるし、食料問題も栄養問題も解決だ。

まぁ、味は最悪だけど。

育成の難度は高くないから、素人だらけでも任せられる。

全体の管理は産業部に任せるとしよう。


さ、次だ。


ーーーー


「ママ、これがブラキリア在来種のヤギだよ」


「ありがと、ツェル」


産業部として農業従事者の振り分けと農作業レクチャーの手配をしていたツェロを捕まえて、ここいらの酪農について改めて話を聞いた。なんの家畜を育てるのかを決めるためだ。

話の結果、新生ブラキリアの酪農動物として最もふさわしいのはヤギさんということになった。


「メィメェ」


「可愛い」


「ママの方が可愛いよ」


「…………」


こいつはガイコツ相手に何を言ってるんだろうか?それともこいつには何か違う姿でも見えてんのか?

まぁ、本人がいいならどうでもいいが。


とにかく。

このヤギさんは元々この北国にいた野生のヤギを畜産化した種らしく、つまりこのブラキリアの環境に最も適した種ということだ。

他の畜産動物は原種が別の地のものであるらしい。とりあえず今は放置で。


「さて、眷属化だ」


時間も無いのでどんどん眷属化していく。

やはり動物性タンパク質や脂質は必要なので、一種類だけでも家畜を確保しておきたい。

家畜は繁殖にも時間がかかるので、それこそ早くから始めねばならない。

ヤギは肉も食えるし乳も出る。丈夫で寒さに強い。最適だ。


野菜が不味い分、せめて肉くらいはいいのを食わせてやろう。

これもある程度は丁寧に眷属化していく。


さぁ民よ、うまい肉食わせてやっかんな。


ーーーー



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[一言] 今度は手紙を食べるヤギになったりして…
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